らんま1/2

□理性と欲情と…
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最近、俺はあかねと恋人と呼べる関係になった。

だからってわけじゃねぇ。

べ、別に何かを期待してたとかじゃねぇ。

今日は夜遅くまで家族が留守であかねと俺の2人だけだなとか。

恋仲になって初めての2人だけの夜だなとか。

べ、べべべべべべ、別にそんなこと考えてたわけじゃねぇんだ!

断じて考えてない!!

考えてたわけじゃねぇんだけど…。

やっぱ、緊張すっだろ?

あれだ、その、なぁ?

だから、そのだなぁ…。

す、すすすすす…………き…な女と…、ひとつ屋根の下、家族は留守!2人きり!

緊張すっだろ!?

何かあんじゃねぇかとか…いや、だからんなこと考えてねぇって!!

考えるかっつぅの!?

大体なぁ、こういう時は大抵邪魔が………………。

俺は閉まってあった釘とトンカチと木材を持ち出し、ガンガンとドアに打ち付けていく。

木材を一枚残らず打ち付けると、俺はやっと一息ついた。

よ〜し、こんなもんかな。

今なら台風が来たって怖くねぇぜ!

残りの釘とトンカチを片付けると、俺はイソイソと居間へ向かった。

居間へ行くと、あかねが気持ち良さそうに寝息をたてている。

なんでぇ、あかねの奴寝てやがんのかよ。

あんだけガンガン煩かったってのに、よく寝れんなコイツ。

誰にも見られてねぇのはわかってるのに、思わずキョロキョロと辺りを見回す。

よし、誰もいねぇな。

俺はそこはかとない緊張を感じつつ、あかねの横に腰を下ろした。

そっとあかねの寝顔を盗み見る。

べ、別に変なことしようなんて、これっぽっちも思ってねぇ!

思ってねぇんだって!

あかねの隣に座んのなんていつものことでぃ。

寝顔見んのだって、初めてじゃねぇ。

別に、緊張する必要なんてこれっぽっちもねぇっての!!

それなのに、ドキドキと鳴る胸の鼓動は治まらねぇ。

それどころか、時間が経つに連れてどんどん酷くなってる気がする。

なるべく見ねぇようにと思って顔を逸らすのに、いつの間にか目はあかねを追う。

ミニスカートから無防備に晒した脚とか、Tシャツから覗く柔らかそうな腕とか、サラサラのキレイな髪とか、ぷっくりとした…かわいいくちびる…とか………。

あああああぁぁぁぁぁ!!!!!

何を考えてんだ俺は!?

落ち着け、落ち着け俺!!

とりあえず一旦落ち着け!

あかねを見んな!!

見んなって!!

理性を総動員して何とかあかねから視線を外す。

居間の端にまでワタワタと移動した俺は、ばちんばちん自分の頬を叩いて、欲情しそうな気持ちを抑えようとした。


「……んっ…ら…ま…」


ビクッとして思わずあかねに目を向ける。

寝返りを打ったあかねが、何だか幸せそうに笑ってるのを見て、カァーーーッと顔が熱くなるのを感じる。

あかね、俺の夢見てんのか?

俺の夢見て、そんな幸せそうな顔で笑ってる?

ドキドキと、さっきよりも早急に、急激に心臓が高鳴りだす。

そっと、またあかねに近づいていく。

恐る恐るあかねの髪に触れ、起こさないようにそっと梳いた。

柔らかくて、気持ち良くて、何度も優しく梳くと、あかねがくすぐったそうに身をよじった。

それでもあかねが起きる気配はねぇ。

キス…しやすそうな角度だな。


そっとあかねに顔を近づける。

後10センチ…5センチ…3センチ…1センチ………。



…………って。

だから俺は何を考えてやがんだ!!?

ハッと我に返って飛び起きる。

大袈裟に飛びのきすぎて、後ろの壁に思いっきり頭を打ち付けちまった。

俺は打ち付けた頭を押さえて鈍痛に堪える。


いくら恋仲になったっていってもだな、寝てる相手に、その、キ、キキキキキ…キスとか!!!

馬鹿か俺は!?


「……………意気地無し」


不意に聞こえたあかねの声に、俺はバッと視線を向けた。

そこには、寝転んだまま薄っすらと目を開けたあかねがいた。


「あっ………あか、あか、あかね!?」

「も〜、せっかく気持ち良く寝てたのに目が覚めちゃったじゃない」

「あかっ…おまっ…いつから起きてやがった」

「ん〜…、頭撫でられた時かなぁ」

「んなっ!?」


て、ててててて、てことは、あかねにキスしようとした時には、もう起きっ………。

思考回路が止まる。

体がギシッといわせたまま動かなくなるのを感じる。

あかねはそんな俺をクスクスと笑って見てやがる。


「…してくんないの?」

「へっ?」

「キス…」


体を起こしたあかねが、上目遣いにそんなこと言ってきやがる。

思わず唾を飲み込む俺。

マジ、情けねぇぞ…。

あかねがそっと俺に近づいて、静かにその目を閉じるから…。

俺もそっとあかねに近づいて、顔を近づけた。

ドキドキと高鳴る胸の鼓動。

壊れんじゃねぇかと思うほどに心臓が早鐘を鳴らす。

それはきっと相手があかねだから。

あかねじゃねぇと、ここまで気持ちが高ぶったりしねぇ。

なかなか言えねぇ俺の気持ちを、ありったけの気持ちを込めて、俺はあかねにキスを落とした。



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