今日は何の日Project!
□Subject:浴衣
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8月3日。
今日は、隣町の神社で夏祭りが催される。
となれば、当然…。
ガールハントじゃぁ!
やっぱり夏祭りと言えば浴衣じゃ。
浴衣を着ていれば、俺の男の魅力もぐっと引き立つに違いない。
「かあさぁん。俺の浴衣どこしまったっけ?」
「知らないわよ。タンスにでもしまってあるんじゃないの? ちょっとあなた、食べながら新聞読むのやめてちょうだい!」
「タンスになんてしまったかなぁ?」
うちわでパタパタと仰ぎながら、家の中を適当に探す。
去年、紺色の浴衣を買って…。
それからどうしたっけ?
「ダーリン。何探してるっちゃ?」
「うを!? ラム!?」
「なぁに、慌ててるっちゃぁ?」
ラムがじとっとした目で俺を見てくる。
これは、何かを勘ぐっているに違いない。
「ばっか。浴衣だよ、浴衣。今日は夏祭りじゃないか。だから、着ていく浴衣を探してるんだ」
「浴衣?」
「ほら、俺が去年着てた、紺色の…」
「ダーリン、忘れたっちゃ?」
ラムは呆れたと言わんばかりの顔で俺を見ている。
ラムはどうやら俺の浴衣の在処を知っているらしい。
「あの浴衣なら、うちの電撃で丸焦げになったっちゃよ?」
「なにぃ!? ラム、お前!?」
「ダーリンが、他の女にちょっかいかけてるからお仕置きしたっちゃ。浴衣を犠牲にして逃げたのは、ダーリンだっちゃ!」
確かに、そんなこともあったようななかったような。
そんなこと、既に日常だから忘れていた。
確かに、去年の夏祭りの帰り、浴衣を着て帰った記憶がない。
そりゃしまった記憶がないのも頷ける。
「しょうがねぇなぁ。新しい浴衣でも調達しに行くか」
「浴衣買いに行くっちゃ? じゃぁ、うちも着いてくっちゃ」
「来んでいい!」
「うちも浴衣欲しいっちゃ! ダーリン、うちの浴衣選んで」
ラムは俺の腕にまとわりついてくる。
えぇい、この暑いのにベタベタと煩わしい。
「何で俺がお前の浴衣を選んでやらにゃならんのだ?」
「ダーリンが選んでくれた浴衣が着たいっちゃ。ね、ダーリン」
ラムは俺の腕を掴んだまま、空中をぐるぐると飛び回る。
上目遣いのラムのおねだり。
これで、俺を拘束しようとさえしなければ、俺の自由恋愛を認める度量の深ささえあれば、ラムも良い女なのに。
「あぁ、わかった、わかった。着替えてくるから、お前も着替えて来い」
「本当け? うちの浴衣、選んでくれるの?」
「あぁ。でもラム、わかってるだろうな? 俺と出かけるときの条件」
「わかってるっちゃ。ダーリンとデートするときは、地球の女の格好をすればいいっちゃ」
「ツノもちゃんと隠せよ」
「了解だっちゃ。ダーリンの浴衣はうちが選んであげるっちゃね!」
ラムは有頂天になりながらUFOへと飛んでいく。
さて、俺もさっさと着替えて、ラムは巻いて、デパートへ行くぞ!