成り代わり
□孤高の浮雲
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【入学式】
遂にこの日がやってきてしまった。
何を隠そう、今日は入学式。
新入生にとっては、真新しい制服に身を包み、新しい学校、新しい友達とやらに期待に胸を躍らせているか、逆に不安で胸が色んな意味で締め付けられる日。
因みに、私はどちらでもなかった。
寧ろ、入学式? ナニソレメンドクサイって思ってたような……?
入学式なんて大人の話を椅子に座ってただ聞いてるだけの、面倒な学校行事ってだけだし。
今の私にとって入学式とは、日頃の苛々を発散するいい機会になっているけど。
そこらへんにいる不良という名の、何か多分大切なものを拗らせてしまった人達は、入学式を仲間とやらを引き連れてサボる。
サボるならひとりにしなよ、じゃないと……折角我慢してるのに、咬み殺したくなっちゃうじゃん。
そろそろ限界何だよね、目の前に如何にも不良ですって子たちが沢山いるからさ。
入学式で”ふうきいいんちょーあいさつ”とやらをこの後やらなきゃいけないから、凄く機嫌が悪くみえるとかって朝、草壁に言われたんだよね。
これ以上私を苛々させないでくれよ、キ・ミ・タ・チ?
不良達をフルボッコにしたお陰で、幾分か機嫌が良くなった。
「ご機嫌ですね、委員会」
体育館に向かう途中、草壁に遭遇したらそう言われた。
「スッキリしましたか?」
機嫌が良い理由はわかっているらしい。
取りあえず、頷いておいた。
「風紀委員会、雲雀恭弥。
僕の前で群れたら………咬み殺すから」
校長の話が長くてうざ…めんど……時間の無駄だったし、そろそろ生徒達を解放してあげたかったので、おもわず校長目掛けてトンファーを投げてしまった。
だってうざいんだもん。
そしたら、生徒達からスッゴクアツい視線を向けらた。
何だ、何なんだ。
男女問わず顔があかいとか、ナニソレキモチワルイ。
そんな、救世主って顔で見ないでよ、咬み殺したくなっちゃうじゃん。
入学式の時に毎度やらかしてることだから、可笑しいことはないと思うけど。
「……入学式はこれで終わりだよ、さっさと教室に戻りな」
これ以上体育館にいるのもアレだから、さっさと教室戻れ。
(毎年コレのせいで生徒達に畏れられる所か、好かれているなんて、私は知らない)
(一部の生徒には好意・尊敬・憧れ…その他諸々の感情を抱かれているとかも、誰かに言われなければ気付く筈がない)