俺の空色なのだよ
□あの子の特別は…?
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暫くして部活動を終えると、いつの間にか姿を消していた黒子を無意識に探しながら歩いていた火神は、目の前でこそこそと隠れながら歩いている派手な金髪男を発見した。
「…黄瀬…何してんだよ」
「火神っち!!しぃっ!!前…」
「前…?」
こそこそしながら前を指さすその先をじっと見つめる。
「黒子…」
「火神っちは気にならないんスか?黒子っちにあんなに可愛い顔をさせた相手!!」
気にならないと言えば嘘になる…
しかし、それを知っても自分には何も得は無いのだ。
「止めとけよ…ショック受けるだけだろ…」
「ショック?俺以上に黒子っちの彼氏に最適な男は居ないんスよ。とにかく見付けて諦めさせないと…って!黒子っち!?」
「見失ったな…」
と、言うよりはバレて逃げられたと見るべきか。
「火神っち!!手分けして探すっスよ!!」
「もう放っといてやれよ…」
「嫌っスよ!!」
中々諦めようとしない黄瀬に、仕方無く付き合うことにした火神は、いつも二人で歩いて帰る道のりを辿っていった。
暫く歩いていると、目の前に見知った色の男が歩いている事に気が付いた。
長身に緑色の髪と、手には何やら丸いフワフワしたものを乗せている。
「緑間…?こんな所にか?」
珍しい場所で見た彼に興味は沸いたが、今はそれどころではない。
早く黒子を探し出し、黄瀬を納得させなければ帰ることも出来ないだろう。
そう思い、その場を離れようとした時、視界の片隅に見馴れた空色がゆらりと揺れた。
「黒…」
思わず叫ぼうとして、
はっ…と口を押さえた。
今、興味を外したばかりの緑間と自分の相棒が微笑み合い、仲良く歩き出したのだ。
『大切な人って…緑間か?』
余りに気になり、こっそりと後を付け始める。
それを遠くから確認したらしい黄瀬が後ろからすっ飛んで来た。
「火神っち!!見付けたッスね!?」
「大きな声を出すな!…あれ…見てみろ!」
火神の指差す方へ目を向けた黄瀬は、声にならない悲鳴を上げていた。
何とタイミングの良いことか…
躓いた黒子が緑間の胸の中にしっかりと収まっていたのだ。
「火神っち!!黒子っちが…俺の天使が!!」
動揺の余りに、とんでもない事を口走る黄瀬を軽く一瞥すると、声の聞こえる場所まで素早く移動した。