俺の空色なのだよ
□あの子の特別は…?
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「黒子っち!!」
いつものように部活動に励む体育館に、いつもと違う声が響いた。
「…黄瀬くん」
呼ばれた本人は、いつもの事になれた様子で振り向く。
「黒子っち!!今日こそは俺に付き合ってもらうっスよ!!」
鼻息も荒く、ツカツカと歩み寄ってくる他校の生徒に、黒子のチームメイトは冷たい視線を向けた。
「黄瀬…しつけぇな…」
「火神っち!!今日こそは黒子っちを貰って帰るっスよ!!」
めんどくさそうに黄瀬を睨み付けると、自分の背後に黒子を庇いそのままコートへ戻した。
「あ…黒子っち〜!」
その背を追い掛けようとコートへ足を踏み入れると、何処からともなくチームメイトの鉄壁のディフェンスが始まった。
「すみません…退いてくれないっスか!?」
「あぁ!?他校の生徒は練習試合以外はお呼びじゃねぇんだよ!?」
少々キレ気味の上級生の迫力に一瞬怯むが、今日こそはと意気込んで乗り込んで来たのだ。
ここで引き下がる訳にはいかない。
「黒…「黄瀬くん…今日はこの後、大切な人と逢う約束があるんです」へ?」
自分の声と被るように発せられた声に思わず間抜けな返事を返してしまった。
「大切な人って誰ッスか?」
引き下がる気の無い以上はその人とやらも気になるし、気に食わない。
「ふふっ…秘密です」
普段の彼には余り無い可愛らしい笑い声を発てると、コートへ戻ってしまった。
「だ…誰なんスか!?黒子っちにそんな可愛い顔させるのは!!」
その場に居た全ての心の声を代弁するかのように叫ぶ黄瀬に、相変わらず冷たい視線を向けると、完全に無視して練習を再開した。