みんなの空色
□ずる休み
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その日の朝…
いつもと違う気配を感じて、僕は目を覚ました。
何時もと同じ天井に安堵して、もう一度眠ろうと寝返りを打つ…
そこで僕は…
気配の正体に見詰められていた。
この場合、“正体達”と言うべきだろうか…
「…夢?」
「夢じゃねぇよ」
「テツヤ、漸く起きたのか…」
「寝起きの黒子っち!!マジ天使っス!!」
「起きたのなら早く着替えるのだよ…」
「黒ち〜ん…お菓子なくなったぁ〜」
上から…
青、赤、黄、緑、紫…
僕の安らぎの空間に、色の暴力が大集合していた…
「…これは何かの間違いです。もう一度寝て「テツヤ、いつまで独り言を…早く着替えないと…無理矢理脱がすよ?」すぐに着替えさせていただきます!」
慌て洗面所へ走り込むと、顔を洗い、髪を整えてから部屋へ戻る。
一抹の期待を胸にドアを開けたが…
やはり、まだ居た。
「…着替えたいのですが…出て行ってくれませんか?」
「何をバカな事を…さあ、早く脱げ」
「くっ…黒子っちの…生着替え…」
バカはあなた方でしょう?
と言うべきでしょうか…
何ですか…何故にケータイを此方へ向けてるんです?
しかも、連写音とか聞こえるのは…気のせいデスヨネ?
あ…DVDカメラ…いつの間に用意したんですか?
「分かりました…向こうで着替えてきますから…大人しくしていて下さい」
あんな物を向けられて…大人しく着替えるなんて…僕には無理です。
後ろから何やら文句も聞こえて来ますが…
無視しても問題無いですよね?
着替えが終わり、部屋へ戻ると彼らの前には軽い朝食が並べられていた。
成る程、今日はフレンチトーストですね…
「テツヤ、お母様は出掛けてしまわれたようだ…僕たちの分まで作ってくれたよ」
嬉しそうに言ってますけど…
きっと、母も迷惑だったと思いますよ…
だって、一人分で済むはずが、六人分…
「黒ち〜ん、これ、美味しいねぇ〜」
「それは良かったです。食べたら帰ってくださいね…」
「何故だ?今日はまだ、始まったばかりなのだよ」
もぐもぐしながら喋らないで下さい。
緑間君らしくないです。
「黒子っち!!今日はどこへ行くんスか?」
「テツは俺とデートだよな?」
「違うよ〜?黒ちんは俺とケーキバイキング〜」
「何をバカな事を…黒子は俺と図書館デートなのだよ!」
「…誰がそんな事を許した?」
うわぁ…赤司くん…機嫌が悪いですね…
「テツヤは僕とラブラブタイムだよ…さぁ、おいで?」