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□ラブレター騒動
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先輩@「えー?ははっ」
先輩A「平介にこどもォ?そんなばかな。うそうそ、こんな気分屋の無神経に。信じないよ?」
先輩@「どうなのよ、鈴木くん」
鈴木「いや、それがそのいとこ、本当に平介に懐いてて」
「いやー、可愛いもんですよ。子供って」
先輩A「人を可愛いと思う気持ちがあったなんて!!」
先輩@「こんな気の回らないやつに」
「そこまで言いますか?俺ってそんなに……」
先輩@A「「うん。自分ばっかりが可愛い奴だよね!」」
「や、そんなことは……」
先輩@「鈴木もよく付き合うねえ」
鈴木「先輩方こそ」
先輩@「アタシら、いつも一緒にいるわけじゃないもん」
「いいじゃない。自由って素晴らしいじゃない。」
鈴木「俺に迷惑がかからないならな」
佐藤「あっおはよう!」
鈴木「おー」
佐藤「今日は結一緒じゃないんだねー」
鈴木「あー、まぁなー」
『おはよー!さとちん、すずちん!』
佐藤「あ、結来たー」
「あー鈴木、鈴木。ノート返しとく。忘れないうちに」
鈴木「平介、落ちたぞ」
「『何これ?』」
鈴木「俺が知るか」
「なんか何日か前に机に入ってたやつのような…その場で読まなくて鞄に入れておいたんだ。忘れてたなぁ。……今日放課後、第一選択教室に来てもらえませんかって……果たし状?」
鈴木「心当たりあんのか?」
「1年の多分女子からだ」
『それってラブレターじゃないの?』
「まさかー」
佐藤「知らない女の子にあんま使ってない教室…これってそうじゃない?」
「…つってもコレあるの忘れてたやつだし…」
佐藤「えっじゃあ、ラブレター貰ってスルー?」
「そうなりますね」
『そうなりますね、じゃないよ。それ、サイテーだよ?どーすんの。』
「何か言ってくるわけでもないしなぁ…」
佐藤「平介ぇ」
鈴木「いいのか?」
ラブレターに関してこれっぽっちも悪い気も示さずに興味無さそうな平介を責める私たち
すると、周りの男子もラブレターと聞いて騒ぎ出すのは当然のこと
「「「平介くぅーーん、恋文ですってぇー?無視したの?ねぇ無視したの?」」」
「え」
「「「何様なの?」」」
「いや、」
「「「なぁぁに鞄に隠したの?」」」
「ちょ、」
「「「酷い、酷い男だ!無神経だ!つか、ラブレターって!平介さんのエッチ!」」」
あぁ、平介が埋もれてる…助けてあげないけど
男子「鈴木も何か言ったれよ!いつものようにビシッと!」
鈴木「えー俺に害のあることじゃねぇし」
めんどくさい、とかそんなとこかな。
返答がすずちんらしい
鈴木「でもそうだな、ちゃんとしておけよ。平介」
「え、」
『え、じゃないよ。ラブレターを無視したってことは、ラブレター渡した子にとっては返事もらってないってことなんだから諦めていいのか分からなくなるでしょ。それは、いくらなんでも可哀想だよ』
佐藤「そうだね…」
「「「ラブレター貰っちゃうなんてなぁ、滅べばいいんだよぉ!!燈乃さんもいるのにまだ足りねぇのか!クソ!!」」」
「僻み?!ってか、結は幼なじみなだけでそんなんじゃねぇって言ってんだろーが!結なんかいらねえっつの!」
「「「俺に譲れ!!!」」」
「うっさいな、男子。どーしたの?」
『あ、あずちん。おは。』
「おはよ」
『平介がラブレター貰ってたらしくて、無視したらしい』
「あー、なるほど。コイツらはそれを僻んでんだ」
『そうそう。納得が早いね、あずちん』
「もち。」
『まぁ、平介は、わざとやった訳じゃないのになんでこんな言われ方しなきゃならないのとか思ってそうだよね。』
「なんで分かった……。」
『何年付き合ってると思ってんの?アンタみたいな馬鹿に。』
「……どーせ、気の回らない男ですよ、ゴホゴホ、」
鈴木「気持ち悪い、何があった。」
『多分あれ引き摺ってんのかな、』
佐藤「あれって?」
『今も咳してるけど、それ、この間お泊まりした時に一緒に寝たあっくんの過失だったらしくって、』
鈴木「過失って、」
『あっくんのせい、って言うのも違うけど、そうじゃないとも言いきれないの、、布団取られちゃったってことだから。』
佐藤「あぁ、それで、過失。で?何で平介がそれでへこむの?」
『あっくんが同じ部屋にいるのに、おばさんとその話しててそれで、自分のせいだって、悲しみを背負わせちゃって……おばさんに無神経って言われてた。』
鈴木「それは、無神経だな。」
佐藤「平介が悪いよ。」
『まぁ、ただの風邪だし大丈夫だよって行ったけど、多分あれはあっくんには届いてなさそうだなー……って。何言ってもおれのせいって思ってそうで、可哀想な背中だったもん』
鈴木「あ、ノート出しに行かなきゃ、」
『暇だし、あたしも行くー。これ、あたしの分、』
鈴木「おー」
当番のすずちんと平介でノートを提出しに行く
その隣を暇だからとあたしもついて行く
「子どもの心は難しい……」
鈴木「さっき結が言ってたヤツ?」
「そう。なんかもう、面倒くさくなってきた。」
鈴木「あきらめるな!悩め、悩め。そして思い知るがいいさ。」
先輩「へー本当に懐いてんだ。よ、」
『び、っくりした、いつから居たんですか、』
先輩「あーさっき。知ってる背中見付けて。物好きもいたんだねー」
「授業始まりますよ」
先輩「サボりサボり。聞いたよ、平介、このひとでなし!」
「なんですか、いきなり」
先輩「恋文無視こいたんだって?」
「寄ってたかって責めなくたって……」
先輩「でもだって、どうせフォローとか入れてないんでしょ?」
『「え、」』
先輩「やっぱ、人でなしー、忘れられた恋文なんて切ねえっての、恨まれるぞー?いとこちゃんに持つ愛情の欠片でも周りに持ったんなさいよ。そしたら、何事も円滑に進むってー」
「そんなこと言われましても」
先輩「たったひとことだってもらえば、人って思った以上に簡単に報われるもんよー?ま、融通効かせたらどうよって話。」
「はぁ、」
先輩「そういや2人とも、最近サボってんの見かけないね?」
「『進級したいんで』」
真似すんなコノヤロって思ったけど、
多分この言葉は平介も本心だろうから放っておこう
先輩「ほんじゃ、行くわ。ばい。」
チャイムの音を背に去っていく先輩
『急ご、授業始まる、』
鈴木「だな。」
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