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□ラブレター騒動
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平介とあっくんのその後が気になりすぎて、家に帰ってから復習が全然捗らない


これじゃダメだと今日のノートを手に、平介の家にお邪魔する


『お邪魔しまーす。』


一声かけて、平介宅に入ると
リビングにはあっくん1人


『あっくん、こんにちは。』


あっくんの背中に声をかければ、くるっと振り向いた


「ゆい……」


『仲直り、出来た?』


「うん。」


以前見た背中より、ほんのちょっとだけほっこりしてるというか安心が見て取れる背中になってた


『よかったね、また泊まりにおいで。』


「へいすけも、いってた、おなじこと、」


『平介も身体を鍛えるいい機会だよ。簡単に風邪なんかひかないように、もっと体力つけてもらおう。ね。』


「うん、」


「あら、結ちゃん、来てたの。」


あっくんと話してたらおばさんが来た
そりゃそうか
子ども1人残していくなんて平介じゃないんだからありえない


『今日、平介が早退した分のノート持ってきたんですけど、まだ寝てますよね?』


「さっき起きてたけど、どうかしらね、」


『ちょっと部屋見てきます、』


「まだ熱が下がったってだけだから、風邪移されないように気を付けてね。結ちゃんにそんなことしたら、あの子叩き出すけどね?」


『ふはは、大丈夫ですよ〜、そんな事するほど、強い奴じゃないですし。』


「そうね。」


タンタンタン


おばさんとの会話を後に、階段を登り平介の部屋に辿り着く

なんでもない幼馴染みの部屋なのに何故か緊張する


扉に手をかけようとすると、向こうから開いた


「なに?」


『あ、おはよ。具合、大丈夫?』


「ん。足音聞こえるのに、扉開かないからあっくんかと思った。」


『ごめん、、あっくん、仲直り出来たって言ってた。病み上がりだから、今日はこのまま帰ろうかって思ったんだけど、やっぱり。進級したいっていう平介の気持ちも大事だからなって思って。これ、今日の分の板書のノート。さとちんとすずちんにいつも借りてるだろうけど、今日はあたしので我慢して。2人いつも頑張ってるし、風邪菌移したくない。』


「さんきゅ、」


『みんな揃って進級したいっての、あたしも同じ気持ちだから。頑張ろ、平介。』


「ん、」


『何度も言うの気が引けるんだけど、やっぱり相手のことも考えて。風邪治ったら、ラブレターのこと、ちゃんと返事、してあげて。生殺しって結構辛いから、駄目なら駄目ってちゃんと、伝えてあげて。それだけ、だから。あたし帰るね。身体、気を付けて。』



馬鹿同士
ふざけ合ってる幼馴染み同士

踏み込んではいけないことも
きっとあるだろうけど


それくらいのお節介は許して欲しい


幼馴染みって距離感
なんかすごく難しい


あたしは好きだけどな、平介


きっと気付いてないだろうし
これから気付くこともきっとないだろうし
きっと気付いたとしても気味悪がるだろうな


その距離にしたのはあたしだし
悔やんでも悔やみきれないけど


その距離感を今は楽しむことにする


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