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□はじめまして
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『あっくーん、出来たよ』
リビングにいるであろう秋くんに呼び掛ける
ひょこ、と顔を出して皿を見てタタタ、と寄ってきた
『フォークと一緒に置いてあるからゆっくり食べてね…あたし、お風呂掃除してきちゃうから』
ふるふる
どうしてか首をふるあっくん
何故?
「………一緒にやる」
いい子だけど、どうすればいいのやら
多分ね、あっくんがやったら平介は殴られて、おばさんに怒られるのがオチだと思うんだけど
『あっくん、濡れちゃうよ?』
「だいじょーぶ、お菓子のお礼するだけ」
お菓子?あーフレンチトースト?
てか、お礼って超いい子!
『じゃあ、フレンチトースト食べたら一緒にやろっか』
こっくん
理解してくれて何よりです
それから、はむはむしてるあっくんを横目に新しいメニューを考えてみる
ちっさい子にウケる甘過ぎないのとかないかなーなんて
『やっぱフルーツタルトとかかなぁー 』
でも生地が入ると作れないしなー
試作は平介に頼むか
「ゆいお、お姉ちゃん」
え?
ふとあっくんを見ると
微かに頬を染めていた
か、かわっ!可愛い!
何じゃこりゃ、こそばゆい!
「ゆいお姉ちゃん、た、食べ終わった」
空のお皿に満面の笑みのあっくん
『え、うん…ゆいでいいよ?』
「………ゆい」
ぉおう、かわええー
あたし、弟てか兄弟欲しかったわー
『じゃあ、やろっか』
こっくん
いい子だねーあっくん
あたし、これくらいのときは正直言って煩わしかったと思うんだけど、何だこのいい子は!
――………
『えっと…じゃあ、床をこのスポンジでゴシゴシしてくれる?この濡れてない椅子に座ってもいいからね』
こっくん
あーあ、あっくん風邪引かしたらあたし死ぬな
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