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□はじめまして
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その週の土曜日


あー暇…



そうだ、平介ん家に行こう










そんな考えがぐるぐるする頭を叩き起こしてベランダにある秘密の通路を通って平介の部屋に侵入





『平介ー』






呼んでも返事はない




『んだよ、いねーのかよ』





ま、いーや

飲み物とか拝借しに行こ





たんたん、と軽快なステップで階段を降りると静かな空間





『マジで誰もいねーんか』





リビングに入ると見たことのない小さな背中




子供?



平介の子…なわけねーし、預かってんのかな?



てか、子供預かってんのにどこ行ったよ、平介は





『ねー…』





ビクッ




声を掛けると、あからさまにビクつく男の子




え?って顔でこちらを振り向く




まー玄関から入ってないし、そういう顔されても仕方ないんだけど…ちょい傷付くな





『こんにちは』






こっくん


頷く男の子





『お名前は?』






「………秋」






『秋くんね、あたし燈乃結、よろしくね』





こっくん





会話のキャッチボール…壁打ちみたいになってねーか?





ま、子供だし…仕方ないのかもしれないけど




てか、秋くんって長いな




『あっくんって呼んでもいい?』





こっくん




相変わらず頷くまま





『あっくん、お腹すいてる?』






ふるふる


今度は首をふる




『遠慮なんてしなくてもいーよ?あたしね、平介の幼馴染みだから、よく出入りするんだけど此処、結構材料あるよー…あ、おばさん?大丈夫だよ、許し貰ってるから』






「少し」






『おっけ、何食べる?』






「………」







『フレンチトースト食べる?コレ…なんだけど。』




ケータイでさくっと調べると出てきた画面をあっくんに見せる




その途端、目がキラキラして




こっくん!




すごい勢いで頷いた




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