紅い悪魔に恋をする

□ついていく
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白い…
白い……


(朝かしら…)

赤い…
……赤い?

パチッ

『…!?』
「お、起きたな」


目を開けた瞬間、視界に入った赤い髪
タバコをくわえながらニヤリと笑うクロス
(…私、何してたんだったかしら?)

(確か、毒薬を飲んで…その毒薬の作用は…)


『!!!///』

洗いざらい思い出してしまったルキは、クロスと目を合わせたまま固まる

幸いクロスは、ルキの頬が赤く染まっていることに気付いていないようだ

「朝飯持ってくるから、待ってろよ」
『へっ、あ、ええ…』

ドアの方に歩いていくクロスの長い脚を見ながら、色々な思考が渦巻く


(私はどうして生きてるの?)
(死にたかったのに)
(本当に死にたかったの?)
(ちがう、逃げたかっただけ)
(なぜクロスが夢に出てきたの?)
(知らないわよ)
(あんな鬼畜、誰が好きになるのよ)
(あー、それよりまだ両親の件が)
(そんなこと忘れなさいよ)
(そんなことって何よ!)

『あー、もう!うるさい!!』
ガチャ

「…誰に言ってんだ?」
『あ、いや…』
「声」
『…は?』
「声、出るようになったな」
『!!』

(やった…これで筆談はもうしなくていいわ!)

筆談はペンを使うので、手首を怪我したルキには地味に辛い

クロスは、フルーツやハムエッグを山盛り大量に乗せた盆をベッドの隣のテーブルに置く

『ありがとう』
「ああ」

どれぐらい眠っていたのか知らないが、からだはまだ回復しておらず、起き上がるだけで肋骨が軋む

だが、最後に食べたのはあの執事に作ってもらったサンドイッチ
空腹には勝てず、ハムエッグをフォークでぶっさし口に入れる

(…見られてる)

食事を運んできたクロスは、なぜかベッドの向かいのソファーでこちらをジッと見ている

「………」
『…あなたも朝ごはん食べてないの?』
「いや、俺はコーヒーだけでいい」
『下で飲んできたら?』
「もう飲んだ」
『…?』

(もう、食べにくいわね)

食事中ずっと見られてるのもいい気がしない
しびれを切らして聞こうとしたが、タバコが切れたらしく下に行ってしまった

(相変わらず、何考えてるのかわからないわ)

モグモグ…

(それにしても、)

山盛りで溢れそうなサラダとトースト、ハムエッグにフルーツを見る

(よく私が大食いだってわかったわね)

『…ヤダ、見た目!?』

(もうっ、失礼しちゃうわ!)
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