紅い悪魔に恋をする

□埋める
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右足が痛む




歩くたびに、ちぎれそうな激痛に噛まれる

(ったく、本当に怪我人を動かせるなんてありえないわ)

自分で煽ったことを棚に上げて、右足を庇いながら歩く

(ジャンには事情を説明したし…残るは、彼ね)

クロスから受けた命令は、ナイトレイド家にある怪しい部屋を1つ残らず埋めて、誰かに売り渡すこと

屋敷には、代々裏稼業を担ってきただけに、拷問部屋や地下牢、危険な薬がたくさんある実験室などがある

当主がいた頃ならまだしも、今回の1件で警察が入れば、権力を失った家の者は逮捕ものだ

だから、クロス元帥は(AKUMA関係の事件だということで)黒の教団に連絡を取り、しばらく現場に警察が入らないようにしてくれたのだ

(可愛くねえ、なんて、こっちのセリフよ)

そんなことを考えていると、ようやく知り合いの貴族家に着いた

コンコンコンッ

重厚な扉を叩くと、しばらくして顔なじみの老執事が出迎えてくれた

おそらく主人は朝食を食べているのだろう、とてもいい匂いがする

「これはこれは、ルキ様!ささ、お入りください」

半年以上会っていなかったのにも関わらず、自分のことを覚えていてくれたことにルキは感動する

朝食を食べている主人のもとへ行く、長い廊下
老執事は、ルキの包帯だらけの姿を見ても何もきかないでくれた

「きっと朝食はまだでしょう、ご主人様と御一緒に食べていかれては?」
『(とてもありがたいけれど、急ぎの用があるの)』
「さようでございますか。では、馬車の中で食べられる軽食を作ってまいります」
『…っ(ありがとう)』

優しく細められた目を見て、涙が出そうになるのを堪えた
憐れみではない、自然なもてなしの心
理由はわからないが、励まされたような気持ちになった


「ご主人様は、こちらにおいでです。馬車と軽食の用意をして参りますので、少々お待ちください」
『(ええ、感謝するわ)』

ギイッ
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