pioneerの内ポケ♪

□love you...
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"前進中"


前鬼side


ようやく俺が自分の気持ちに気づこうとしとる時…



「好きです!!」


前・翼「………。」




カフェでの堂々の告白。



『あ、えと…前鬼さん、私下がってます…』



なんていそいそと裏へ行こうとしよる翼を



前「ちょぉ待ちぃ。」



首根っこつかんで引き戻す。



『ぜ、前鬼さん?』



前「お前やろ。」



『……は?』



わからんといった様子の翼。



こいつ…



鈍いんか鋭いんかわからんな…



前「せやから、"好き"て翼にやろ?」



ホレ、と指差す。



前「こいつ、男やで?」



俺のはずないやん。



翼は



『いゃ……そういう恋愛だって…ある、かと…』



前「………。」



アホか。



そこまで考えて何で肝心な所に気づかんのや…



前「…どうなん?」


お客は



「いや…僕はお姉さんに…」



そらそうや。



前「ホレ、俺下がっとくわ。」




翼を一人フロアに残し、裏へ下がる…



前「なんやねん…」



翼鈍すぎや…



あの男もそうやけど…



この店、男の客多いと思うたら…



大体が翼目当てなんちゃう?




前「…なんや。腹立つ。」



って…



何にや?




そんな事にも気づかんと



翼は笑顔を振り撒いとる…



やっぱ



鈍いんやな…


ーーーーー

前鬼side




……なんて時もあったわ。



鈍いのは…どっちやろな?



「好きです!!」



……俺やないで?



『あ、えと…』



ホールに出てみれば



ちょーど



翼が客に告白されとった…




『え、えぇと…あの…』




困った翼は



『ありがとうございます…』



まず、礼





ええねんけど…







それ、誤解されるで?



『でもっ私…』



「コレ、受け取って下さい!!」




白い紙をつきだす男…



大体がこのパターンやな。



『う、受け取れません…』



ここで引くやつも居れば




「受け取ってもらうだけでいいんで!!」



そら、めげんやつも居る…



『む、無理です…』



「お願いしますっ!!」



今回はめげん奴か…



『ご、ごめんなさ…っ!?』



グッと翼を引くと



翼もお客もびっくりな顔で俺を見る



『前鬼さ…』



前「すまんな。翼は俺のモンや。」


『っ!?』



まぁた…



翼に怒られるな…



でも、嘘やない。




前「ホンマやで?」


そぅ言って


翼の頬に口を寄せた



『っ!?』


ビクッとした翼と



キャーッというお客の悲鳴



男はそれを見てそうそうと帰っていく…




『ぜ、前鬼さん…なんて事…』



これは…怒るやろな…



前「…ちょっと便所。」



逃げるに越したこたないやろ。



自分の女の告白を目の前で黙って見とるって…



どんな拷問やねん。



ホールから戻ると



今度は厨房の男共から刺さるような視線



まぁ…ええけどな。



そんなに睨んでも



前「譲ってやらんで?」



誰にも…な。



つづく゚
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