pioneerの内ポケ♪

□給料日
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前鬼side


バイトの給料、15日やったな…



割りと頑張っとるんやけど…



全然時給上がらんなぁ…




でも、翼に怒られんのは嫌やねん。



あいつ、子供みたいな所もあれば…



前「シビアっちゅうか、現実派っちゅうか…」



匡「サル、うるせぇぞ。」



前「………。」



匡「……なんだ?」




ご当主、に頼んでもええねんけど…



前「…何でもないわ。」



翼に怒られそうやし…



やっぱナシやな…




部屋を出ると、



くるっと翼がこちらを向く。



毎度毎度、正確に振り向きよる…



『前鬼さん!!』



前「…どしたん?」



そんな



えらい笑顔で…



『あのねぇ、お月様まんまるだなぁって…』



お月様まんまる…て。



前「せやなぁ、お月さんまんまるやなぁ?」



『…前鬼さん。今馬鹿にしたでしょ。』



意外に鋭いんやな。



前「口にでとったならしゃぁないなぁ…」



俺の言葉に



『………。』



翼はぷくっと頬を膨らませる




ホレ。子供やないか。




前「……。」



ムスッと膨らんだ頬を両側から押すと



ぷしゅ…



と音をたててしぼんだ…




『…ふっ。あははっ何すんの〜?もぅ。』



前「押したらどうなるかと思うてな?」



膨れたかと思うたら



すぐに笑顔に戻る



コロコロ表情が変わって



忙しい奴やなぁ…



前「………。」


『……なに?』



次はどんな顔するんやろな…



前「面白いやつやな。」


『えー??』



コロコロ変わる表情に


つい目を奪われる…



でも



前「やっぱ怒らせんのは違うわ。」



『…え?怒らせたかったの?』



前「んなわけないやろ。」



笑ってて欲しいんや…




前「あー、早く給料日こんかなぁ…」



もうちょっとなんやけど…



『何?欲しいものでもあるの??』



欲しいもん…か…



チラッと翼を見る



前「って!!何考えとるんやっ!?」


『っ!?え?な、なに…?』



俺はっ



何を考えとんねんっ…!!



前「ホンマ、何でもないんや…」



『…ふふ。変なの。』



なんて笑って…




ホンマ、俺どうしたんやろな…




『あ、そだ。○×くんが明日バイト来れないから私少し残るんだけど…』



前「…おぅ。なら、俺も残るで?」




したら…



次の給料日で払えるんちゃう?






……窓ガラス代。




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