pioneerの内ポケ♪

□ほわいとでー?
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前鬼side


前「ホワイトデーなぁ…」

よぅわからんな。


なんで白やねん。


前「ご当主、去年は姫さんに何あげたん?」


匡「水あめ。」


水あめ…


前「ほぅ?その心は?」


匡「…美沙緒の身体に塗りたくってやろうと思ってな。」


…いや、まだわからん。


否定するにはな。


前「……それ、姫さん喜んだんか?」


匡「あいつ怒ってたな。」


前「………そうやろな。」


ご当主、アホなんかどうなんか分からんな。


姫さんに限って妙に熱心やからなぁ…



前「そもそもホワイトデーって何するん?」


こいつなら、知っとるやろ。


豊「抱けばいいじゃないか。」


前「………。」


豊「頭の中を真っ白にしてやれば立派なホワイトデーだろ!」


前「………。」


俺の、人選ミスか?



迷っとるのはバレンタインのお返しや。


何でもええのかも知れんけど…


前「何でも…ってなんや?」


そこへ通りがかる太郎。


前「おぅ、太郎。なにしとるん?」


こいつはバレンタインもホワイトデーも知らんやろな。


太「こないだ翼さんからチョコを頂いたので、クッキーを焼こうかと…」


前「……。」


それ、ホワイトデーとして成立するんちゃう?


前「よっしゃ。太郎、俺も手伝ったるわ!!」


太「ありがとうございます!!」


クッキーくらいなら、俺も作れるやろ。


相「…前鬼。」


前「なんや?」


腕を捲った俺を止める相模。


相「プレゼントは翼さんの身体に害のないものがいいんじゃないか?」


前「なっ…」


なんやねん。


前「それじゃぁまるで害があるみたいな言い方やな?」


ケンカ売っとるんか?


相模は俺の右腕を指差し…

相「プレーンクッキーなら、包丁は使わないだろう?」


前「……そうなんか?」


問いかけた俺に太郎は必死に頷いとった。



伯「何か…購入されてもいいんじゃないですか?」


伯耆…お前、やんわり俺の腕を否定しとるな?


前「何かってなんや!?わかっとったら困っとらんわ。」


伯「翼さんと外出して、好みを調べてみる…とか?」


翼の好み…か。


前「それやな!!よっしゃ。太郎、今日の買い物は俺がいったるわ!!」







と、意気揚々でてきたんやけど…。


『前鬼さん。フルーツって何がいいかなぁ?』


前「なんでもええやろ。」

俺の答えに翼はうーん…と唸る。


『じゃぁキウイにしようかな…』


前「キウイ好きなん?」


『うん!!』


翼の可愛らしい笑みにこっちまで顔が綻ぶ。

キウイが好きなんか…







って…



前「ちゃうやろっ!!」


『っ!?何…?』


突然あげた大声に翼はビクッと肩を揺らす。

『キウイ…だめ?』


前「いや、何でもないねん…。キウイでええよ?」


キウイ好きならいくらでも買ったるわ…


でもな


違うやろ!!


突っ込みたくもなるっちゅーねん!!


買い出しに来たスーパーじゃ翼の食い物の好みしかわからんやないか。

前「なんや…頭痛なってきたわ…」


『だ、大丈夫?』


心配そうに俺を覗き混む翼。


その表情に


"頭の中を真っ白にしてやれば…"



悪魔…いや、豊前の囁きが浮かぶ。




何考えとんねん…俺は…





買い物帰り、沢山の袋を下げて帰る。


結局、なんも分からんかったな…


前「翼、少し休んでくか?」


『んー…そうしよっか!』

馴染みになった公園のベンチに荷物と翼を待たせ、自販機へ向かう。


喫茶店なり、入ってもええんやけどな


翼は公園が気に入っとるみたいやしなぁ…



前「ホレ。」


缶コーヒーを差し出すと


『ありがとう。』


笑顔で受け取る翼。


その指が赤い…


前「翼、指どうしたん?赤いで?」


『スーパーのビニール持ってたからかな?』


前「持ったる言うたやろ?」


それなのに頑なに2つのスーパーの袋を離さなかった翼。



『だって…前鬼さんのが沢山持ってもらってるし…』


まぁ、こいつらしいわ…


前「指見してみ?」


『うん…?』



差し出された細い指


白い肌が赤くなっとる。



痛かったんとちゃう?


嘘が下手やのに隠そうとしよって…



赤くなった翼の指に唇をあてると


翼はピクンと反応した


『ぜ、前鬼さんっ!?』


おーおー。


顔真っ赤やな…


前「消毒や。」


ゆっくり丁寧に唇をあてていく


逃げようとする手を許さん。



こんな綺麗な手しとるのに


赤いまんまでは勿体ないやないやろ



それで


ふ、と。思いついたんや。


前「…翼?」



顔をあげると



『〜〜〜っ!!』


色の白い翼の顔は赤一色。



前「顔も…消毒するか?」


『なっ…!?だ、大丈夫!!』


ブンブン顔を振る翼。



ま、ええか。


目的は達成できそうやし…な。



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