ぽかぽかフェチズム

□ぽかフェチ10
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前鬼side



名無しさんちゃん家で、よく飯をご馳走になる機会が増えた



『ぇ。三つ子なの?』

前「あれ?言うてへんかった?」



太郎と名無しさんちゃんの合作、ビーフハンバーグはとにかく旨い。


むっちゃ旨い。



『だって……みんな髪がちがう。』

前「髪型やのうて、顔や、顔。」



なんで髪型で判断すんねん。


そんなんしたら、三郎は太郎らとも俺とも似つかんやん。



三「僕……ひろわれ……」

太「三郎っ!?」

次「血が繋がってなくても、兄弟だっ!」


前「コラ。なんっちゅうミニ劇場開店してん。ちゃんと血ぃ繋がっとるわ。」



しかも、ちゃっかり感動路線……



『4人兄弟……』

前「おう。」



お陰で実家は賑やかや。



『ごぉくんだけ歳離れてる。』

前「せやなぁ。」



オトンとオカンが頑張ったんやろな。


……とは言わん。



『血が繋がってないのはごぉくんなんじゃ?』

太・次・三「確かに……」

ビクッ
前「……っ!?」



な、な、な……っ!?



前「なんっちゅう事言うねんっ!」

『冗談、冗談。』


前「あったり前やっっ!」



浮かれた連休に、とんでもない事実つきつけられても困るわっっ!!



前「……さて、ご馳走さん。」

『うん。』

前「名無しさんちゃんの飯は最高やなぁ。」



こんだけ誉めても



『それはども。』

前「……ぁ、うん。」

太・次・三「…………。」



名無しさんちゃんの反応は毎度、こんなん。



太「名無しさんさん……あ、あのっ」

『うん?』


ダラダラ
太「シチュー……お口にあわなかったですかっ!?」

『え?美味しいよ?』


ホッ
太「あ、よかっ……」

『腹立つくらい美味しい。』


ビクッ
太「えっ!?」

『料理の腕……負けた。』



ガックシ肩を落とす名無しさんちゃん。



前「太郎の腕は素人越えてもうとるしなぁ。」

『うん。美味しい。』



料理なら太郎に教えてもろたらえぇ



前「因みに勉強なら次郎やな。」

次「はいっ!」


『そうなんだ?』



次郎は勉強家やし


物知りやし



『よかった……ね、ごぉくん。』

前「……さすがに俺、弟に勉強教わるほどアホちゃうで。」



名無しさんちゃん。


さては俺の事アホや思うとんな?



『三郎くんは?何が得意?』

三「破壊!」



元気よぅ答えた三郎。



『…………ん?』

前・太・次「…………。」



名無しさんちゃんが固まる。



『はか……破壊?』

前「…………。」



うん、さすがの名無しさんちゃんもこれには動じてまうわな。



前「三郎は大人顔負けの馬鹿力やねん。」



せやから……


兄弟喧嘩は口喧嘩のみ。


やって、身体使うたら命がいくつあっても足りひんやん?



『へぇぇ……すごいね。』

三「へへっ。」

前「三郎、"へへっ。"ちゃうよ。」



にぃちゃん……


お前に何度あばらを折られそうになったか……



『で、ごぉくんは突っ込みが得意と。』

前「いやいやいや……」



なんでやねん。



前「他にあるやろ?」

『え?』



バスケ部やねんから。


突っ込みはしたくてしとる訳ちゃう。


させられてんねんで?



『じゃあ……何が得意なの?』

前「なんやと思う?」


『……え、クイズ?』

前「当ててみてや。」



よぅ話すようになったしな。


そろそろ、名無しさんちゃんも俺の事知って……



バッサリ
『えー。面倒くさいから知らなくていいや。』

ガンッ
前「……!?」

ホロリ
太・次・三「にぃさま……。」



なんやろ


なんっちゅうか久々に


ゴールが遠く感じてもうた。



グスッ
前「ま、えぇ……」



名無しさんちゃん……ホンマ俺に興味ないねんな



前「にぃちゃんそろそろ帰るから、お前ら大人しぃしとれよ?」

太・次・三「はぁい。」



やっぱし、えぇ返事と



『……え?』

前「……ん?」



首を傾げた名無しさんちゃん。



『ごぉくん、帰るの?』

前「え……まぁ……」


『え、泊まらないの?』

前「え……」



とま……え?えっ!?



前「と、泊まりっっ!?」

『うん。』


前「いゃいゃいゃいやっ!!名無しさんちゃんっ!?」

『なに?』


前「な、なにって……いゃいゃいゃいやっ!!」

『え?なに?』


前「…………。」

『…………?』



アカンわ……


アカンわこの子。



『ごぉくん、泊まってかないの?』

前「…………。」



仮にも、同年代の男やで?


同じ家になんて……



『弟くんたちを私一人で見ろ、と。』

ギクッ
前「えっ……!?」


『なんて冷たい……』

ギクギクッ
前「はっ……!?」



いや、んなジロッと見られても……



『ご飯だけ食べて帰るの?』

ビクッ
前「うっ……」



……さすがに


マズイんちゃうの?




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