ぽかぽかフェチズム

□ぽかフェチ8
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名無しさんside



そりゃ、冬よりはあったかくなったけど



『……っつ!!!?』

前「…………。」



こんなにショックな事はないと


毎年、思う。


教室の電気のスイッチ。


……の、上。


カチッ


カチッカチッカチッカチッ……



ガーン
『……っつ』

前「…………。」



カチカチカチカチカチカチカチカチカチ……



前「名無しさんちゃん。」

『むーっっ!』



カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ!!



前「連打しても、無理なモンは無理やで。」

『…………。』



教室の暖房が……



ガーンガーン
『つかない……』

前「…………。」



ついに、切られてしまった……


冷房はつくのに。


なぜ暖房だけ……



前「えぇやん。もう暖かいし。」

『……やだ。』



暖房……ぬくぬくしたい。


ぽかぽか欲しい。



A「名無しさんちゃんが暖房つけるから、窓側はサウナ状態だったんだぞ?」

林「今日だって20℃以上あるし……暖かいから無くてもいいだろ。」

『うぅ……』



ついに


この時期が来てしまった……


学校の空調メインごと、暖房オフ。



『……学校にくる意味が』

前「いや、勉強せぇよ。」



確かに、私がパンダのポンチョを着て暖房でぬくぬくしてる間


みんなブレザー脱いだり


シャツの袖まくったり


暑そうにしてるなぁとは思ったけど



『私は寒いのに……』

前「教室は皆で使うモンやで。」



……ぐすん。



『民主主義の乱用だ……』

前「……大袈裟やな。」



これから梅雨とかあるし


たまに寒いし


夏まで暖房があってもいいじゃない……



前「ほれ。ジャージ貸したるから。」

『うん……』


ゆ「ポンチョ……もう名無しさんちゃんにあげるから。」

『うん……』


前「いちご牛乳も買うたるから。」

『うん……』


「「だから、暖房はそろそろ我慢して……お願い。」」

『…………うん。』



クラスのみんなが、私を祈るような眼で……



『ぅ、うん……』



みんな……


そんなに毎日暖房に苦痛を感じていたの?



前「暑ぅてかなんかってんで?」

『……我慢、する。』



みんな我慢してくれてたなら


……今度は私の番?



『……ぐすん。』



我慢は……出来る限り、ないほうがいいです……



ーーーーー
前鬼side



最近はニュースでも初夏日和やって騒いどんのに



前「……暑ぅない?」

『全然。』



名無しさんちゃんのスタイルは変わらん。


ジャージに、パンダにいちご牛乳。


ジャージの下にはセーターに長袖シャツ。


暑ぅないならえぇねんけど



前「見てるだけで暑そうやな。」

『まだ、大丈夫。』

前「そか……」



名無しさんちゃんは、未だに冬使用。


俺はシャツの袖をまくって暑さをしのぐ。


うん、季節感ちぐはぐやな。



『というわけで。』

前「……は?」



突然話を切り出した名無しさんちゃん。



前「"というわけで"って、どーゆー訳や?」

『鍋納めをしようと決心した。』

前「うん、話し聞いて〜?」



どないな訳やねん。


つか



前「鍋納めって、なに?」

『決心しました!』

前「ぃゃぃゃ、せやから……」



決心したのはえぇねんで?


けど、何をどないな理由で決心したんかさっっぱり俺はわからんよ?



『今日、しようと思います!』

前「……そか。」



俺の話を聞く気ぃあらへんのは、よぅわかった。



『ごぉくん。』

前「ん〜?」



こうなってくると


……相槌うつくらいしか出来ひんなぁ。


なんて考えながら、返事をすると



『セーターとブレザーを着て。』

前「…………。」


『なんなら、マフラーも。』

前「…………は?」



まぁたこの子ぉは……


よぅわからん事を



前「え……なんで?」

『鍋納めするから。』


前「え……と……」

『早くはやく。』


前「…………。」



せやから


鍋納めって、なんやねん。


つかあっつい言うてんのに、セーターにブレザーって……



前「……嫌や。」

『なんで?』


前「暑いやん。」

『だから鍋納めするんだよ?』


前「…………。」



だから


その鍋納めがわからんねんって。



『さぁさ、早くはやく。』

前「っちょ、名無しさん……」



サクサク話をすすめる名無しさんちゃんが椅子にかけてた俺のブレザーやらセーターを手に取り



『よいしょ、よいしょ……』

前「いや、名無しさんちゃん!?」


『早く着て〜』

前「ちょ、待っ……」



俺の言葉も聞かんと、被せるようにブレザーを羽織らす。



『…………よし!』

前「ぃゃぃゃ、いや。」



強引に着せて満足そにしとるが



前「名無しさんちゃん……」

『ん?』


前「むっっっっちゃ、暑いねんけど。」

『我慢我慢。』



我慢て……


なんでんな我慢せんといかんの?



前「いつまでこうしとったらえぇの。」



もう俺としては5分すら辛いねんけど。



『帰るまで。』

ガンッ
前「かっ……!?」



何言うとんのこの子!!



前「……脱ぐで。」

『だめぇーっ!』


前「やって、暑いねんもん。」



色々意味わからんし。



『脱いだら嫌い。』

ピシッ
前「……は。」



きら……嫌い?


セーターとブレザー着とらんだけで?



前「……んなアホな。」



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