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□伯耆くんのハロウィン
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伯耆side



宴もたけなわ……

お酒も結構な数を空け

料理も食べ尽くした時



豊「よし、ゲームしようか!」



一番の年長者が笑顔で言った。



前「は?」

『ゲームですか?』

匡「お、なんだ?見世物か?」



この人発信だと……

どうしてか、良い予感はしない。



伯「豊前さん……前鬼さんで遊びたいのならまた違う時に……」

前「はっ!?おいこら伯耆、どうゆう意味や!」



いや……そのまんまですよ。



豊「それはちょっと飽きたな。」

前「ぇっ、飽きたんっ!?」


豊「せっかくだから、全員参加が良いだろう。」

前「無視やめて!?」



そういって豊前さんは懐から帯状の紙を取り出した。

番号の書かれた紙と、星のマークの入った紙……



豊「これをしよう。」

全「…………。」



なんていうか……



相「歳を感じるな。」

伯・実・翼「ぁっ……」



言っちゃった……



豊「相模……あのな、俺の心臓も決して鉄製ではないんだ。」

前「ぷぷっ……!」

相「失敬。本音が漏れた。」


豊「……うん、だからな、相模。俺の心臓は…………前鬼、煩い。ハウス」

前「はっ!?」



昼間……姿を見なかったけれど……

豊前さん、こんなものを作ってたのか。

それとも合コングッズかな?

いや、でもさすがに今はもう……王様ゲームはないだろう



豊「あ、匡さまも当たった場合は有無を言わさず従ってもらいますからね。」

匡「は?」

相「まぁ……当主であっても」

前「王様やないしな。」



皆、匡さまに何かしら普段の鬱憤でもぶつけたいんだろう

目の奥が真剣。



『私、初めてだなぁ!』

伯「えぇ、僕もです。」

『楽しみだね!』

伯「ふふっ。」



"初めて"を知るのが好きな彼女が嬉しそうだから、つい場に流されてもいいかな……

なんて考える僕は単純で

命令はどのくらいまで許されるだろう……

なんて考える僕はこれでも、男。



『当たらないかなぁ〜』

伯「ぇっ……翼さん?」



たぶん……当たっちゃ、駄目なんです。

王様を目指した方が……



豊「よし、恨みっこなし!引いてくれ。」

実・翼・三つ子「はぁい!」



豊前さんの声に女性陣と三つ子がその手の中のクジを引く



相「まったく……」

匡「なんで俺が……」

前「ホンマ変な命令だけは堪忍な〜」



男性陣はしぶしぶ、クジを引く。



ニコニコ
豊「ほら、伯耆も。」

伯「…………はい。」



僕も、しぶしぶクジを引いた。

各自一つずつひいたクジの端に書かれた番号を確認する。

王様である事が一番の希望だったけれど……残念ながら、王様にはなれなかった。



豊「……お、俺が王様だ。」

匡・相・前・伯「……っ!!」



ざっと視線が豊前さんに集まる



豊「おいおい……なんだよその目は。たまたま、偶然、だぞ?」

前「ホンマやろな……?」

匡「なんか仕掛け……」

豊「……て、ませんよ。」



集まった視線に豊前さんは慌てて誤解を解こうとした

確かに……こんな上手くいくものなのかな?と、内心僕も訝しげ。



豊「ともあれ、俺が王様だからな。命令は絶対ですよ?」

匡「ちっ……」

前「ホンマ、えげつないのはイヤやで?」



何気に、前鬼さんこれ楽しんでないかな……

ドキドキそわそわしていて……

うん、王様ゲーム満喫してる。

どうせならそのまま例にならって罰ゲームも……



豊「4番。」

ピクッ
伯「……っ!?」



あ………しまった。

そう思った時には



豊「…………。」

伯「…………。」


豊「………………ニヤリ。」

ビクッ
伯「っ、!!!?」



……遅すぎた。

僕の手の中にあるクジの番号は4番。

まさか……自分が呼ばれるなんて……



ニコッ
豊「4番、女装。」

ガンッ
伯「じょっ……!?」


匡「お、伯耆か。」

前「ぷぷぷーっ、女装やって!」



満面笑みの王様はしっかり僕に向けて指示をだした。

前鬼さん……とても楽しそうで腹がた……いや、これも人の不幸を願った罰かな?

とはいえど

女装は回避したい。



伯「翼さん、助けてくだ」

『じゃんっ!』

伯「さ……ぇ。」



振り返れば、翼さんは実にいい笑顔でいくつか制服を広げて見せた



ウキウキ
『どれにする!?』

伯「え、いや………」


実「カメラもばっちり!」

伯「あのっ、ぇっ……」



どうしよう

完全に周りが盛り上がってる……

まだやるとは言っていないのにっ



ニコニコ
豊「王様の言うことは……?」

ニヤニヤ
匡・相・前・実・翼「ぜったーい!」


伯「…………っ、っ!!」



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