ぽかぽかフェチズム

□ぽかフェチ18
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伯耆side



正直、他人の恋愛に興味はあまりないし……口出しするのも好きじゃないんだけど



『ちゅうって、何歳までする?』

伯「……え」



この話は


……少し、面白いかもしれない。



伯「ぇ……っと。」

『…………モグモグ。』



隣でパンを頬張る、先輩。


先輩という事は、当然年長者だし


僕は教わる側だ。



伯「クリーム……頬についてますよ。」

『……どこ?』

伯「あ、ここです。」

『とって。』



けれど



伯「……取れました。」

『ありがと。』



彼女は、僕の想像にははまらないタイプの人だと思う。



伯「それで……お年頃?の話でしたか?」

『うん。』


伯「明確な物差しはないかと……思春期とか青年期とかですかね?」

『……ん〜』



そんな事、考えた事もなかったな



『で、ちゅうは?』

伯「ぇえ〜……と。」



名無しさんさんの質問は


"ちゅうって、何歳までする?"


……だった。


けれど……どちらかと言うと、"何歳まで"じゃなく


これから……なんじゃ?



伯「ぇえ……と……」

『うん?』


伯「質問をもう少し詳しくお願いします。」

『詳しく……』



スキンシップのキス、とかかな?


海外では挨拶にリップを鳴らしたりもするし……



『昨日、ごぉくんにほっぺにちゅうされたの。』

伯「…………。」



……いきなりグッと、詳しくなったな。


前鬼さん……そうか、頬に……



『けどね、お父さんがおにいちゃんに……』

伯「…………。」



名無しさんさん、お兄さんいるんだ。


末っ子かな?



『年頃だからお風呂もちゅうも、もうしちゃ駄目って言ってた。』

ビクッ
伯「えっ……」



それは



『あ、私が小学生とかの時だよ?』

ホッ
伯「あぁ……」



……驚いた。


今、お兄さんとお風呂やらキスをしていたら……僕には到底相談にのれる話じゃなさそうだったな(想像の上を行き過ぎて。)



伯「それで……年頃なのに、前鬼さんがキスをしてきた……と。」

『うん。』

伯「ぇえと……」



それが……何なんだろう?


取り合えず、教室から離れて正解だったな。こんな話聞いたら、斎藤が煩いだろう。



『それで、何でかと思って。』

伯「え?」


『ごぉくんはお年頃じゃないのかな?』

伯「…………。」



あぁ……そうだ。


名無しさんさん


……鈍いんですね。恋愛に。



伯「うーんと……前鬼さんも年頃じゃないですか?」

『そうなの?』

伯「ふふっ、まぁ。」



恋愛に悩むなんて……"お年頃"の象徴のようなものじゃないかな?



伯「年頃"だから"かもしれませんよ?」

『お年頃……だから?』

伯「えぇ。」



これ以上、前鬼さんの気持ちを代弁するわけにもいかないだろう。



伯「名無しさんさんは、それが嫌だったんですか?」

『ん〜……別に。』

伯「…………そうですか。」



別に……とは……ざっくりしてるな。


鈍いとか最早そんな話じゃない気もするんだけれど……



伯「嫌では、なかったんですね。」

『うん。おにいちゃんもごぉくんも好きだし。』

伯「…………。」



あぁ……そっか。



伯「好きにも、色々種類がありますよね。」

『え?』

伯「色々な好きが。」



名無しさんさんはもしかしたら


その違いに気づいてないだけ……なんじゃないかなぁ?



『伯耆くん……難しい問題ださないで。』

伯「ふふっ。難しいですか?」



わざわざ……僕に聞きにくるくらい、気になってるって事だと思うんだけれど



ニッコリ
伯「簡単な事ですよ。」

『…………。』



好きの違いに気づけば……


斎藤には悪いけれど


前鬼さんのゴールもすぐだろうな。



『……わかんないや。』

伯「ふふっ。」



気づけば………だけど。




ーーーーーー
実沙緒side



実「えっ……!?」

前「ぃゃ……」



昼休み、前鬼さんが珍しく相談があるって言うから何かと思えば



実「名無しさんちゃんが、前鬼さんをどう思ってるか……?」

前「せや……」



これは……



ドキドキ
実「恋バナ……っ!?」

前「ぅ……。」



きゃーっっ!!


前鬼さんの恋バナ……!!



前「姫さん。ご当主には……」

実「言わない言わない!!」



匡を引き剥がしてきてよかったぁぁ!



実「前鬼さんが名無しさんちゃんを好きなのはよくわかってるんだけど……」

前「ぃゃ……それはそれで……どやろ。」


実「名無しさんちゃんはどうかなぁぁ?」

前「よぅわからんねん。」



私もあまり名無しさんちゃんとそうゆう話はしたことないし……


名無しさんちゃんがよくお話してくれるようになったのも、最近だもん。



実「だけど……前鬼さんの事は大切に思ってるんじゃないかなぁ?」

前「ホンマっ!!!?」

実「ぅ、ん……たぶん。」



名無しさんちゃんが、クラスの皆とお話するようになったり


皆の名前を覚えたり


誰かと時間を共有するようになったのは


……前鬼さんの影響だと、思う。



実「名無しさんちゃんって分かりやすいし……」

前「えー?」

実「だってほら……斎藤くん?とか。」

前「あぁ……」



最初は避けに避けてたもんね。


関わるのも嫌ってくらい……



前「でも、名無しさんちゃん斎藤の気持ちには気づいてへんねんで?」

実「それは……」



私も何故かわからない……


あんなにストレートに好きって言われて、何故気づかないんだろう?



実「でも……どっちみち、良いと思わなかったから避けてたんじゃない?」

前「あ〜……」



本能的に、ってゆうのかなぁ?



実「前鬼さんは好かれてると思うよ!」



最近は二人で一緒にいるのが当たり前な光景になってきたし……



前「でもなぁ……あの子、好きや言うてもありがとうとしか言わんし、なんも変わらんのや。」

実「ぇ……」

前「嫌ではないんやろうけど……なぁ。」


実「前鬼さん……」

前「ん?」



それって……



ドキドキ
実「名無しさんちゃんに好きって言ったの!?」

前「…………っ!!」



告白〜〜〜っ!!!?



実「きゃーっ!知らなかった!」

前「ちょ、姫さっ……声でかい!」


実「だってぇぇぇっ!!」

前「あぁぁぁっ……もぅ……」



前鬼さん、言うこと言ってたんだぁぁ!



前「ま、まぁ、でも名無しさんちゃんはあんな感じで変わらんねん。」

実「あ……そう、だね。」

前「せやろ?」



でも……変わらないって事は



実「嫌じゃないし、受け入れてるんじゃないのかな?」

前「ん〜……まぁ、嫌がられとる気はせぇへんけどなぁ。」


実「名無しさんちゃん、恋愛とか興味ないから前鬼さんの好きが友達としての好きじゃないって分かってないのかな?」

前「多分なぁ〜……」

実「…………。」



私から見たら……


答えは出てるような気がするんだけど



ウズウズ
実「…………っ」

前「姫さん?」



言いたい……っ!!


すごぉく、言いたいっ!!


けど肝心な要は、言わない方がいいよねっ!?


二人の問題だしっ……



ドキドキ
実「な、な、んでも、ないのーっ!」

前「……何でもなさそうに見えへんよ。」



言いたいっ!!


もどかしいなぁぁっ!!


あと一歩なのにっ!!



実「焦らなくてもいいんじゃないかな?」

前「ん〜まぁなぁ。」



焦らなくても……答えはかわらないんじゃ?



実「それに……名無しさんちゃんのペースに合わせてあげるのも大事だよ。」

前「名無しさんちゃんの……」


実「恋愛は一人じゃできないもんっ!」

前「…………。」



前鬼さんには、前鬼さんが好きになれる相手が必要だし


きっと名無しさんちゃんにとってもそれは同じで……


相手がいなくちゃ、恋はできなくって


相手を想えなきゃ、恋愛にはならないもの。



前「……ん、せやね!自分の事ばっかやのうて、相手の事も考えたらなね!」

実「そうだよ!」



すっっごい言いたいけど


それは、その時までの楽しみにしておかなくちゃね。



実「前鬼さん、頑張って!」

前「おうっ!おおきにな!」





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