ぽかぽかフェチズム

□ぽかフェチ10
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前鬼side



いや、もうわけわからん。



前「……マズイやろ。」



仮にも、好きな女の子の家やで?


熱で寝込んでた時とはちゃう。


お互いピンピンしとる。



三「にぃさま?」

太「どうされました?」

前「いや……」



ちゃっかり、風呂に4人で浸かる。


これかてずっと遠慮してた事やのに……



次「きっと、子供にはわかっちゃいけない事で悩む年頃なんだよ。」

太・三「へぇぇ。」

前「次郎。お前は黙れ。」



すでにその発言が子供らしさ持ってへんし。


つか


お前……わかってもうとるやんか。



前「必要ない事まで学ばんでえぇねんっ!」

バシャッ

次「っぷ……!」



そんなん、大人になったらわかる事や。



三「にぃさま……大人だったの?」

前「どういう意味や。」

バシャッ

三「わぁぁっ」



お前らに比べたら、大人や。



太「にぃさま……」

前「ハァ、今度はなんや。」

クラクラ
太「のぼせますぅ……」

前「はよ上がれやっ!!」



何やっとんねんっっ!!



ーーーーー



前「名無しさんちゃん、風呂おおきに。」



用意された、名無しさんちゃんの兄さんの着替えを着てリビングへ戻る。



『!』


パタパタパタパタ……


近づく足音



前「……。」



俺は両手を広げ、待つ。


……ぼすっ。


太・次・三「っ!!!?」

前「はいはい。」



匂いかがれるのも、恒例になってもぅて。


慣れてきたもんやな



『うん、ごぉくんの匂い。』

前「せやろなぁ。」



しがみつく名無しさんちゃんの髪を撫でる。


ホンマ……


名無しさんちゃんは俺を意識してへんのかな



太「にぃさまっ!?」

次「子供はみちゃだめー!」

前「いや……」



んな騒ぐよなモンちゃうねん、これは。



三「僕もまざるー!」

前「は?」


ダダダダッ……


どんっ!!



前「ぐはぁっ!?」



三郎が背後から突進。


尾てい骨に激しい衝撃。


ぎゅうぅぅぅっ



前「さっぶろ……っ!ちょ、力っ……!」



そのまま、三郎の腕が俺をロック。


身体の芯からミシミシと音が鳴る。



『ごぉくん……大丈夫?』

ゼェ、ハァ
前「……っ」


三「にぃさま?」

前「三郎……力加減せぇって……いつも……っ」



……言うとるやん。


にぃちゃん、身体むっちゃ痛い。


内臓が口から出てまうかと思うたわ……



次「にぃさま、大丈夫です!人体の構造的にそれは無理です。」

前「わかっとるわっ!!」



例えや、例え!


ホンマに内臓でてもうたらしまう方法あらへんやないかっ!!飲み込むんかっ!?



前「ごほっ……名無しさんちゃ、風呂はいってき。」

『大丈夫?』


前「そのうちに回復しとくから大丈夫や。」



ついで、三郎にはよぅ言い聞かせへんとなぁ?



前「……ったく。」



名無しさんちゃん家に泊まるのに緊張するはずやのに……



三「にぃさま〜大丈夫?」

前「……ん。身体が何故か痺れとるわ。」



こいつら寝かしつけな


……緊張どころやないわ。




ーーーーー
名無しさんside



お風呂から上がると



前「ん、乾いたで。」

三「はぁい!」



ごぉくんが皆の髪を乾かしてあげてた。



前「あ、名無しさんちゃん……」

『…………。』



……いいな。



前「もう出たん?はやかっ」

『…………。』



……パタパタ



前「え……」



どんっ。ぎゅうぅぅぅっ。



前「名無しさんちゃんっ!?」

『…………。』


太・次・三「きゃーっっ!!」



いいな。



『私も。』

ドキドキ
前「はっ!!えっ!?」


『乾かして欲しい。』

前「ぁ……あ、あぁ。」



自分でやるのは面倒くさい。


いつも、やってくれる人がいた。



前「なら……ドライヤー持ってき?」

『うん。』



やった……


ごぉくん、やってくれるんだ。



『はい。』

前「ん、なら座り。」

『うん。』



ドライヤーを手渡して


……すとん。



前「ぇ……。」

太・次・三「きゃーっっ!!」


『ん?』



ごぉくんの膝の上に座る。



ドギマギ
前「ぇ、な、名無しさんちゃんっ!?」

『なに?』


前「こ、ここに座るん?」

『違うの?』



だって……


座れって言ったのに。



『はやくはやくっ。』

前「……ぉ、おう。」



私が急かすと、ごぉくんはなんでか戸惑いながらも髪を乾かしてくれる。



『ふぅぅ……』

前「なんやその声。」


『きもちぃ。』

前「……そか。」



髪は乾かすより


乾かされる方が好き。



ジイッ
太・次・三「…………。」

前「……なんやその眼は。」


ドキドキ
太・次・三「にぃさまの青春を眼にしっかり焼きつ……」

前「要らん事ゆな。」


『ふぅぅ……』

前「名無しさんちゃんは関心なさすぎや。」



今日のお家は賑やか。


こんなに賑やかなの、いつぶりだろう。


入学式の前日にお祝いした時ぶり?


じゃあ……三年ぶりになる?


ごぉくんが来るようになってから、一人じゃない時間は増えたけど


今日はもっともっと賑やか。



『……落ち着く。』

前「ん?なんか言うた?」



私の呟きはドライヤーの音で聞こえなかったみたい。


聞こえても聞こえなくてもどっちでも……



『何にも言ってない。』

前「そか。」



どっちでもよくはない、かな。


ごぉくん、たまに哀しそうな顔するから。


お兄ちゃんの事……ごぉくんのが気にしてる。


私より、気にしてる。


……変なの。


だけど、もっともっと変なのは


ごぉくんはお兄ちゃんじゃないのに


お兄ちゃんみたいだなって思う、私。



前「名無しさんちゃん?終わったで?」

ぎゅう。

『…………。』



背中が、あったかい。


ごぉくんの両手が、膝に乗った私の膝に乗っかってる。


あぁ、くっついてるから背中がぽかぽかするのか……



『ごぉくん。』

前「ん?」


『どうしよう。』

前「なにをや?」



お風呂あがったら……



『アイスを食べようと思ってたの。』

前「は?」

太・次・三「アイス〜っ!!」



アイス……食べようと。


だけどなんだか


胸がきゅーっ、てなって



『だから、止めようかな。』

前「……は?え?」

シュン
太・次・三「…………。」



夜ご飯食べ過ぎて


胸焼けしてるのかな。


……変なの。




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