フェイク×前鬼

□戦場はエコロジーを目指してます。
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名無しさんside



仕事あがりの休憩室



り「名無しさんさん、今日ごめんねぇ!!」


『え?』



仕事を終えて皆が寛ぐ中、同じように身体を休める私のトコへりかさんがちょこちょこっとやって来た。

可愛らしい笑顔で。



り「だからぁ、今日。カウンターの開店作業任せちゃって。」


『あー……いいよ!!』



忘れかけてたし……。それどころじゃなかったし。



り「本当に?怒ってなぁい?」


『怒ってないない。』


り「良かったぁ!!」



にこっと笑うりかさん。
うん、大丈夫。その笑顔は可愛いよ?
怒る気にもなりません……


なんでそんなニコニコ出来るのかなぁ?



店「そうだ。前鬼さん、写真撮らせてくれる?」


前「は……写真?」


舞「スタッフの笑顔写真を撮ってスタッフボードに貼るのが決まりなの。」



舞はホラ、とスタッフボードを指差した。
そこには早番遅番合わせて50人位の笑顔写真。

50人がこっちを見て満面の笑み。
うん、気持ち悪い……




前「名無しさんも撮ったん?」


『え……まぁ。』



嫌々、だったけど……
誰もが通る道だもの。そう答えると彼は腕を組んでスタッフボードを覗きこみ



前「ホンマや。めっちゃ笑うとるやん!!」


『ちょっ!!あんまり…見ないで。』



ボードから私を見つけ出して指差す前鬼さん。恥ずかしいなぁ、もう……



舞「いいじゃん、お手本見せてあげなよ!!」

り「そうだよ!!笑顔笑顔!!」


『えぇっ!!?』



そう言ってカメラを持つ箕輪店長の前に私を差し出す二人。

ムリ!!むりむりむりっ!!
なんのお手本かもよく分かんないしっ……!!



『りかさんの方が向いてるでしょっ!!?』


り「そんなことないよぉ〜」



嘘つけ、ぶりっこ!!ニコニコしてるじゃぁないかぁっ!!



店「まぁまぁ、どんな感じで撮るか見せるだけだから!!」


前「頼むわ先輩。」

『なっ!!?』



前鬼さんは私の肩にポン、と手を置いて……

こんな時だけ先輩扱い〜っ!!?
楽しんでる!!
この新人、先輩からかって楽しんでる…!!



舞「ほらほら、笑って?」

前「それやったら写真とれへんやん。」


『うぅ〜〜っ!!』



そんな事、言われても……っ!!



『楽しくないのに笑えませんっ!!』





ーーーーー



前「はぁ、やっぱ名無しさんおもろいなぁっ!!」


舞「でしょう?照れ屋さんなのよ。」



写真の手本を強制的にやらされた私。
笑われて恥ずかしいやら何やらで、顔があつい。



り「そうだ、今度前鬼さんの歓迎会やるんだよ!!」


川「今、出欠取ってるんだけど……名無しさんさんはどうします?」



歓迎会、これはうちの会社の恒例行事。
まぁ……今回の新人さん、既にだいぶ馴染んでる気がするけど……



『うーん。どうしようかな?』



舞は行くのかな?
でも皆の前で聞くのは周りに申し訳ないしなぁ。
だって……周りに興味ないって言ってるようなものでしょ?


……ないけど。
疲れるし……どうしようかな?



なんて考えてると



前「………。」

『ぇ……なに?』



隣の前鬼さんと、しっかり目が合った。
……なんだろう?首を傾げた私に彼は耳を寄せて……





ボソッ

前「電球倉庫のゴミ袋……」

『なっ……!!?』


「「え……?」」



前鬼さんの言葉につい、反応した私に首を傾げる皆さん……



『何でもないっ何でもないから!!』



慌てて気をそらし



『……っ。』



キッと彼を睨むと……



前「……っぷ。」

『……っ!!』



前鬼さんは、とてもたのしそうに私をニマニマ見つめて……

こいつっ……!!人の弱味をぉぉっ……
わかった、わかったわよっ!!




『参加……しようかなぁ?』



不本意に作り笑いを浮かべた私に前鬼さんは、またニヤッと笑う……


前「なんや、嫌々なん?」

『……っ。ゼヒ!!是非参加させてください!!』



くっそぉーっっ!!
本当に、ペース乱されっぱなしだなぁ……ごみ袋なんて蹴るんじゃなかった……



『………。』



"努力は上手いこと認められんもんやなぁ"



……あれはどういう意味だったんだろう?
誰に、言った事?私……?



私の努力はなかなか認められ……?



『ふふっ……』


前「なんや?」

舞「どうしたの?」



『ううん?……なんでもない。』




そんなもの
今さら言われなくても……ねぇ?


どんどん蓄積されてくストレス



このストレスも、なんとかエコ出来ないかしら?



心が破壊されちゃう前に。

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