pioneerの内ポケ♪

□香2
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前鬼side


縁側で日向に身を預ける翼…


『ふぁ〜…』


なんや


前「でっかいあくびやな。」


無防備すぎるやろ。


『だってお日様が眠れって私に…』



…言うとらんやろ。



『さぁいこうだよね…』



目一杯伸びをして


そのまま縁側に転がる翼。



まぁ…なぁ。



前「こんだけ暖かければなぁ」



眠たなるわな。


同じように翼の隣に腰をおろし、寝転がる。


前「ホレ。」


指差す方向には三つ子。


仲良う並んで眠っとる…


『かっ…』


ん?なんや?


前「…蚊?」


『ふふっ。』


三つ子を見て微笑む翼に顔が綻ぶ



『ねぇ前鬼さん。三つ子くん達かわ…』


そこまで言って



突然、そっぽ向く翼。



前「ん?どしたん?」



そう尋ねても


『う…いや。何でもない…』



なんやねん。



前「なんや?こっち向き?」



返ってきたのは



『や、やだっ!!』



前「んなっ!?」



やだって…


なんかしたか?


こいつ…強情やからなぁ



翼の頬と頭に手を伸ばし



前「ホー…レ!!」


『…ぅっ!!!?いたぁっ!?』



強引に翼をこちらに向かせた



グキッって音は…



気のせいやろ。



『前鬼さん?く…首が…』


前「こっち向かんからやろ?」



涙目になっとる翼が妙に可愛らしく感じ



腰に手を伸ばした



『っ!?』


それに翼はビクッと反応しよる



『ぜ、前…』



そのまま翼の身体を寄せると



『ひゃっ!?』


翼はまた小さく声を上げた



前「寝る…か?」


眠いんやろ?



『あっ、私…』



突然、俺の身体を押して離れようとしとる翼の背に手を回すと


『ぁっ…』



また小さい動揺の声…



なぁ、翼。



それ逆効果やで?



前「…逃がさん。」


逃げられる思うか?



『て、でもっ!三つ子くん達いるし…』



アワアワ…ってこれを表す言葉やろな。



前「せやなぁ。大きい声出したら…起きるんちゃう?」



俺はかまへんけどな。



それに


『…っ。』


キュッ、と翼は口をつぐむ


前「ええこやな?」



翼の前髪を軽く撫でて


唇を寄せる



再び視界に入った翼は



前「真っ赤…やな。」



うまそう…



とは、さすがに言えんな。


本能のまま


翼の唇にも顔を寄せた



『んっ!?…ンン…ン。』


ぴくっと反応して


俺を受け入れる翼。


唇を離しても尚赤い顔をしとって



愛しい…


そう思ったんや。



せやから



もう一度だけ…唇をよせる


『ふぁっ…ンッ…』


小さい声を上げ


ギュッと胸にしがみついてくる翼



アカン…



これは…アカンな…



前「ん。ご馳走さん。」



余裕ない心を隠すように



翼を腕に閉じ込めた



そのまま静かにうとうとしはじめ…



俺の気持ちなんかわかっとらんのやろなぁ



前「まぁ…ええか。」



暖かい日差しの中


腕の中の翼からは


甘い甘い


リンゴのような匂いがした。



それを喰ったら…



俺はもぅ戻れんやろな。



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