ぽかぽかフェチズム

□ぽかフェチ6
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前鬼side



匡「パンダがギャラリーに居るな……」

前「可愛えぇやろ?」



赤い眼を擦りながら、二階のギャラリー席で姫さんと部活を見学する名無しさん……


あんまし寒そうにしとるから、ジャージを貸したったら、それもまたうれしそに羽織り……


ジャージの前を閉め


膝をその中に隠す……


ころん、としたフォルムがまた



前「……可愛えぇ。」

匡「お前……キモいぞ」



えぇねん。


今、俺は気分がえぇから多少の罵声は気にならん。


やって


このあと、名無しさんちゃんを家まで送るって……名無しさんちゃんから頼まれてんで?


それって、俺は特別っちゅう事やろ?



前「幸せやなぁ……」

匡・伯「…………。」



確実に、名無しさんちゃんとの距離が近づいとる……



伯「あの……前鬼さん。」

前「なんやぁ?」


伯「幸せそうな時に言うのもなんなんですが……」

前「ん〜?えぇよ、なんでも言うてみぃ。」



俺は今、むっちゃ穏やかな気持ちやねん。


多少の無礼も許したるで?



伯「まだ……名無しさんさん、前鬼さんの彼女じゃないんですよね?」

ピタッ
前「ぇ……」


伯「うかうかしてると……他に持っていかれちゃうんじゃないですか?」

匡「……だな。」


前「え。」



それはつまり



伯「斉藤に同情してる暇、ないんじゃないですか?」

匡「ホント馬鹿だなお前。」


前「…………。」



お前ら……そこまで人を追い詰めるか?


一気に穏やかな気持ちが消え失せてもうたやんか。


っちゅうか



前「お前らはもう少し俺に優しさみせぇや。」



ーーーーー
名無しさんside



オレンジ色のボールがコートの中でいったりきたり……


それを追いかける、イケメン集団。



『……。』

実「匡〜!がんばれ!」



そのうちの一人は実沙緒ちゃんの彼氏さん。


確か同じクラス。


よくごぉくんと喧嘩してる。


つまり仲良し?



実「かっこいいねぇ!」

『……。』



それは……


彼氏さん、が?



実「バスケ部はなかなか練習みせてくれないから、女の子達……名無しさんちゃんが羨ましいんじゃないかなぁ?」

『……そうなの?』

実「うん。ギャラリー多いと練習の邪魔になるから禁止みたい。」

『へぇ。』



それは


私は……ここにいていいのだろうか?



実「だから、名無しさんちゃんは特別だね!」

『……。』



特別……


それはごぉくんにとって?


特別


それは、仲良しということ?



『…………。』

実「あ、休憩みたい。」



ふむ。特別かぁ。


休憩になるなり、実沙緒ちゃんは足取り軽く彼氏さんの所へ……



実「匡〜!」

匡「くっつくと汗がつくぞ。」



なんて


いちゃいちゃする二人をギャラリー席から見下ろす。


……いいな。暖かそう。


体育館……寒い。


動かないから余計寒い。



前「名無しさんちゃんも降りてきぃ?」

『…………。』



タオルを首に掛けたごぉくんが手招きしてる。


……やだなぁ。


動くの寒い。



『…………。』

前「名無しさんちゃん?こぉへんの?」



でも、ぬくぬくしたい。


すくっと立って


……ガッ。



匡・前・伯・実「へ……。」



ギャラリー席の手すりに足をかける。


それで



『……いざ。』

前「名無しさんちゃ……ちょお待っ」



ぴょーんっ。


二階席からコートへダイブ。



匡・伯・実「わぁぁぁぁぁっ!!!?」

前「名無しさんーーーっ!!!?」



ぼすんっ。


すぐに身体は伸ばされた腕にキャッチされる。


私は落ちないように、首に腕をまわす。



『…………到着。』

ドギバク
前「な、な………っ」



けれど



前「名無しさんっ!何しとんねんっ!」



ごぉくんに怒鳴られた。


だって



『こっちのが早い。』

前「そぉゆう問題ちゃうやろっ!?」



それに


ごぉくんの身体、あったかい。



『ぬくぬく……』

前「し、心臓とまりかけたわ……」


匡「アグレッシブな女だな。」

『ありがと。』



まさか匡さんに誉められるとは。



前「名無しさんちゃん……今の誉めてへんからな。」

『へ?』



……なんで


考えてる事がわかったんだろう。


仲良しだから?



前「名無しさんちゃんの足がぷらぷら喜んどるからなぁ。まるわかりや。」

『……?』



あし?足がよろこぶ?



『ごぉくん何言ってるの?』

前「…………。」



でも……うん。


やっぱり思った通り。



『ぬくぬく……』

前「人の身体でくつろぐなや。」



ごぉくんの身体は運動してたのもあって、あったかい。


少し汗くさいけど


それは我慢。



前「ハァ。休憩やのに……休ませる気あらへんの?」

『……。』



私を抱えたままのごぉくんが深いため息。


いけない。


怒られるのはやだ。


だってごぉくん目付き怖いから……怒ると迫力が……。



『……。』



スタッ。



前「お。」



仕方ないから、ごぉくんから降りる。


けど、寒い。


でもくっついたら怒られる。


それはもっとやだ。



『……。』



とてとて……



前「……。」

伯「ぇ……。」

匡・実「……。」



ぎゅう。


後輩で暖をとろう。


後輩だから、抵抗しないはず。



伯「あの……」

『……ぬくぬく。』



それに、伯耆くんは私を助けてくれた。


いいひと。



前「名無しさん……怒らせたいん?」

『!?』



だけど


なんでか、ごぉくんには怒られてしまった。




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