純白の魔女

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1時間目は視聴覚室で猿田教官によるLBX講座だ。
本来なら隊長の仕事としてハルキがアラタやヒカルに案内するべきなのだが第一小隊の3人はそれぞれ別れて移動してしまったらしい。
なので偶然居合わせた私達第6小隊に混じってアラタも一緒に視聴覚室へ向かっている。


「しっかしハルキもヒカルもサクヤも酷いよな。皆して置いていくなんてさ」

「まあまあ、そう言ってやるなよ」


ぶつぶつと文句を言うアラタをその隣に並んで歩くリョウがなだめる。
アラタは不服そうに「でもよ――」と納得いかなさそうに言う。


「アラタが命令に従わないから愛想つかされたのだろうな」

「ちょっと命令に従わなかっただけだって!」


私が冗談交じりに言うとアラタはムキになって反論する。
と、突然アラタは何かを思い出したように「あっ」と言い出した。


「間違えて英語の教科書持ってきちゃった」

「はあ!? どうするんだよ。今から取りに行っても間に合わねえぞ」

「取り敢えずヒカルが隣の席だからヒカルに見せてもらえばよかろう」


アラタのドジぶりにリョウは「そもそもどうやったら英語とLBX講座の教科書を間違えるんだ」と呆れ気味に突っ込みを入れる。
私がヒカルに見せてもらう様に言うとアラタは急に来た道を逆戻りして走り出した。


「悪い。すぐ取りに行くから先行っててくれ」


そう言って廊下をダッシュで走って行った。
廊下を歩いていた中年の教師に「廊下を走るな」と注意されたのは言うまでもない。


「ねえ、アラタ一人で行かせたら迷っちゃうんじゃないの?」

「あ……」


ハルトの言葉にアラタが校内に詳しくないのを思い出す。
すると今まで黙っていたミドリが唐突に口を開いた。


「僕は先に行くから。転入生が遅刻しようが知ったこっちゃないしね」


博士はそう言うとスタスタと一人で視聴覚室に向かった。


「仕方ない。俺が戻るからツララとハルトも先行ってて」


リョウは私たちにそう告げると早歩きで教室の方へ戻って行った。


「……行こうか」

「そうだな」



リョウとアラタはこの後授業が始まってからかなり遅れた時間に視聴覚室に入ってきた。
二人は猿田教官にお叱りを受けた後自分の席に着く。
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