純白の魔女

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「どうして命令に従わない! 隊長である俺の命令に背くことは許さんと言ったはずだ」

 ブリーフィングルームでは命令違反をしたアラタとヒカルをハルキが叱る。
 他の小隊の面々はただ傍観していた。それは私達第7小隊も含めてである。

「そんなに怒らなくても」

「遊びじゃないんだこれは!」

 遊び感覚で参加しているアラタには何故ハルキがそこまで怒るのか納得がいかないのであろう。
 ハルキはアラタの呑気な口調に対して荒々しい口調で声を張り上げた。


「でもさあ……」

「規律を乱すことは許されない」

「はいはーいお説教はそこまで」

「ユノ……」

 アラタとハルキが言い合っているとそこをユノが割って入ってハルキの説教は中断された。


「ハルキは戦闘報告書の提出があるでしょう? とりあえずこの二人を寮に案内しないとね」

 ユノはアラタとヒカルに自己紹介をして二人の案内役をすることになった。
下校時刻となり、生徒達はぞろぞろと下校していく。
 一方、私は今とある一室を借りてハルキと共に戦闘報告書を書いていた。
 ウォータイムが終わった後に空き教室を借りて2人で戦闘報告書を書くのが私達の日課だったりするのだ。

「……ハルキ」

「何だ?」

 ハルキはサラサラと戦闘報告書に鉛筆を走らせながら目線を変えず返事をする。

「お腹すいた。プリン食べたい」

「……は?」

 私がそう言った途端腹の虫はぐうぅ〜〜と唸りだした。
 ハルキは鳩が豆鉄砲を食らったかの様な少々間抜けた顔で私を見る。

「お前は相変わらずだな……」

「無理もないであろう? 今日はプリンが購買で売り切れておったのだぞ」

 そう、私は今日購買でプリンを買うことができずプリン無しでウォータイムに出たのだ。
 普通の人はプリン如きでと思うかもしれないが私にとっては元気の源なのだ。
 ポ○イが缶詰に入ったほうれん草を食べて超人的なパワーを生み出す事を例えれば分かりやすいかも知れない。

「帰りにスワローでも寄っていくか?」

 ハルキは少々呆れ気味だがブリーフィングルームにいた時よりは柔らかい表情で言った。


「フフ、そうこなくてはな!」

「そのためにも早く戦闘報告書を提出しないとな」

「フフフフフ……待っていろ! プリン・ア・ラ・モード!」

「口を動かさないで手を動かさないと食べに行けないからな」

 先程からサラサラと手を止めずに私と会話していたハルキは戦闘報告書を書き終えると筆箱を鞄にしまった。
 しばらくして私も書き終えるとスワローに寄って行き、無事プリン・ア・ラ・モードにありつけたのであった。
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