学園祭-前半-(20)

□瀬戸内×幸村
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テストがあった週の、週末。



今度はオレと遊ぼうぜ!と元親が外に連れ出してくれた。テストは元就に教えを乞うたお陰で今までで一番成績が良かった。真っ先にそれを元就に伝えに行ったら、とても喜んでくれていた。

ちょうどそこに元親も居たので、じゃあ褒美に何か美味いもんご馳走してやるよと、本当は元就に先を越されて悔しかったのだろうけど、オレだってお前とデートしたいんだと真顔で迫られ、では土曜日にと約束してしまった。

元就の家へは制服で行ったが、街中を歩くには制服ではなにかと拙いだろう。何を着ていけばいいんだろうと瞬時に服装に迷った。洒落っ子な幼馴染に見繕ってもらおうか。デートなんて大層な経験がないので悩みに悩んだ。

結局お気に入りのヘビロテの赤いパーカーを着て出掛けた。駅前で待ち合わせしたら、どうやら先に来ていたらしい元親が手を振っている。


「よ!おはよーさん」

「おはようございまする」

制服を自分流に着こなしている元親だけあって、やはり私服も彼のセンスが光っていた。一見20を超えた大人にも見えるそれは、確かに元親に似合っている。反して子供っぽさ丸出しのこの格好で来てしまったのは失敗だっただろうか。

「お前、その色似合うな」

「赤?」

「そ。なかなか居ねーぜ?男で赤似合うヤツなんてよ」

それは子供っぽいとからかわれたのか、女みたいだと思われたのか。大して悪気なさそうに言うものだから、深くは考えず褒め言葉として受け取ってみた。代わりに、元親先輩も、カッコイイでござるよと褒め称えればだろだろ?今日のために、新しいの買ったんだと自慢げに披露してくれた。見た目大人っぽいけれど、中身は歳相応で、元就とまた違った感じがした。

「ちゃんと腹空かせてきたんだろうな、幸村」

「今日は、朝ご飯だけで我慢したでござる」

「だけ、って。お前昼飯までに何か食うのかよ」

笑い話をしながら、元親お勧めのリストランテに向かう。ここはな、とにかく何でも美味いんだ。そう言って元親が注文したのはペスカトーレとチェダーチーズのサラダ。幸村はカルボナーラとオニオンスープを頼んだ。

もっと食ってもいいんだぜ?と言われたけれど、夕飯はたくさん食べるけど、昼は普通で平気なのでござると言えばああ、オレもだと妙なところで相性が良かった。

 
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