学園祭-前半-(20)
□政宗×幸村
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この現状に、何も不満がないと言えば嘘になる。
かと言って、満足できていないのか…そう問われたとしても否と答える他は無いだろう。
それなりに満たされた環境の中で、誰の目も憚ることなく俺たちは関係を持った。適当に捨てるだけの一夜の相手?違う、そんな安いものではない。
頑なな心と身体、どちらも攻め落とすには相当な努力と忍耐が要った。心を手に入れるまで俺は、らしくもなく手を出さずに待った。だが、その総てを手に入れた時から俺は自制なんてものを捨てた。思うまま可愛がって、悦ばせる。2人揃えば昼夜もなく押し倒してやった。
…が、それが件の恋人にとってはご不満らしい。
今も俺の下で息も絶え絶え、なのにその生意気な瞳は気丈にも俺を睨み付けている。そんな顔されたってちっとも怖くなんかないぜ。
「政宗殿っ」
「なんだよhoney…随分ご機嫌ナナメじゃねぇか」
「あ、あ、当たり前でござるっ」
折角の休みに遊園地デート、なんてお子様気取りの幸村を俺の部屋に上げて早々押し倒し、かれこれ一時間が経過している。
午後は雨の予報だぜ、残念だが家で過ごすっきゃねぇなァとソファの上でじゃれ合い(きっと、幸村にとっては格闘)時間を稼いでいた。外は確かに雨が降りそうな雲行き、じきに予報は的中することだろう。
遊園地なんて行く気もないし、ましてや2人きりになれる時間など週にたったの2日しかない。その休みを有効に使わなきゃ損ってモンだろうが。
「俺はなァ幸村…いつだってお前と一緒に居てぇんだ」
「遊園地で遊んだって、一緒でござる!」
「馬鹿野郎。どこの馬の骨が見てるか分かんねぇ場所で押し倒されてぇのか」
まぁ、俺としてはそれでも構わないが?だがそんな嗜好を、この初心で頑固で恥かしがりの恋人が受け入れる訳がない。
「それだけは嫌でござ…むぐ!」
「文句しか言わねぇ口は塞いでやるぜ?」
片手でもすっぽりと口元を覆える小顔の、鼻だけは出してやってぼすっとクッションを叩き付けた。そうだな、俺のもので塞いでやるのも面白い。