学園祭-前半-(20)
□政宗×幸村
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ぱち、と電気のスイッチを入れて室内を明るくすれば、いつもの見慣れた己の部屋。
「寝るのでござる?」
「いや…食事の続きだ」
「?何言って、……っ痛!!」
ぐいっと腕を引っ張って、ベッドの上に放り投げる。
やっと、やっと力でも叶うようになった。苦節3年、どれだけこの日を待ち望んだ事か。
「アンタを食ってやる」
「ふぎゃっ!!」
上がった色気のない悲鳴を無視して、政宗は幸村に圧し掛かった。勝気な瞳に己の顔が映っている。どうせなら自分しか映さなくなればいいのに、と政宗は思った。
このまま監禁してしまいたいくらいだった。だが、警察沙汰になるのは拙い。
15歳少年凶行、隣人を監禁
なんてサブタイトル付けられて、ニュースになるのは嫌だ。
それはまた夢の中でだけ楽しむ事にして、今は目の前の幸村に集中する。
「まだ腹一杯じゃねぇんだよ」
「じゃ、じゃあっ残ってる奴食べればいいのではござらんかっ」
「るっせぇな…黙って食わせろ」
「〜〜〜政宗君っ!」
さっきまで熱々のハンバーグを頬張っていた唇に、ちゅうっと吸い付く。まだ少しケチャップソースの味がしたが、それは同じものを食べていた自分も一緒。そんな事はいちいち気にしていられない。
「んー!むぅ…ぅ…っ!」
(すっげー柔らけぇ…)
思わず食い千切ってしまいたい程柔らかい唇は、触れ合った場所から熱を伝えた。角度を変えて、何度も何度も口付けを繰り返す。息もままならない幸村が口を開けた時、それを見計らって舌を滑り込ませた。ぬちゅ、ぴちゃと響くはいやらしい水音、益々興奮が掻き立てられる。
歯列をなぞり、上顎を舌先でくすぐれば幸村の腰がぴくりと跳ねた。濃厚な口付けに意識を朦朧とさせながら、政宗にされるがまま蹂躙される。あまりの苦しさに政宗の髪を引っ張ると、不機嫌を貼り付けた顔が幸村を睨んだ。
「…オレはもう餓鬼じゃねぇ、分かっただろう。幸村」
「こ、こんな所ばっかりっ大人にならなくて良いっ!!」
「Ha.そうかい。じゃあ餓鬼らしく遠慮ナシでいくぜっ!!」
「わ、待て、何でそうなるっ…」
この抵抗も、政宗にとっては可愛いものにしかならないのだろう。
餓えた狼は、子羊が丸々太ることを待つことなく、食べる事を選択したのだ。
(さて、もう逃がさないぜ)
最高の晩餐会を、今。
end...