学園祭-前半-(20)
□佐助×幸村
1ページ/5ページ
「ただいまでござる〜」
「あ、旦那お帰りー。部活お疲れさま。お腹空いたでしょ?ご飯できてるよ〜」
まるで新婚のような、むしろそれ以上の甘ったるい雰囲気を出しながらのお出迎え。同棲して早1年、それさえも板につくようになってしまった。
只今青春真っ盛り、高校2年生の恋人を持つ猿飛佐助は5つ程年上の現在22歳。恋人と同じ高校の先輩にあたる彼は、卒業してすぐ社会に出た。特に上に進んで勉強したいという気でもなかったので、それなりの会社に入ってそれなりに稼いで、別段不自由のない暮らしをしている。が、それはこの恋人と出逢ったお陰でずいぶんと満たされた生活になりつつあった。
「今日は何でござる?」
「旦那の大好きな生姜焼き。ご飯いっぱい炊いたから、何杯でもおかわりしてねー」
「やったでござる!」
根っからの世話好きが功を奏したのか、特に遠慮をする事もなく恋人は甘えてくれた。名を幸村といって、この猿飛家に"幸"を運んでくれた運命の相手。
「佐助の料理は、何でも美味しいでござるからな!」
「あらら、もう嬉しいこと言ってくれちゃってー。褒めたって何も出ないよっ」
もー。と言いつつも、部活の後で少し汗ばんだ額にちゅっと口付けを。頭半分下にあるここはいつも無防備に晒されていて、ついついこんな悪戯を仕掛けたくなるものだ。
「くすぐったいでござるようっ」
「ははは…ごめんごめん。旦那が可愛くってさぁ…つい」
こういう事したくなっちゃうじゃない?と片手で器用にリボンタイを外し、その首筋に顔を埋める。すううっと息を吸い込むと、少し甘さの混じった汗の匂いがした。
「ちょっと、佐助…っ」
「旦那は黙ってされるの」
普段は嫁のような立場、しかし房事となれば話は別だ。まだまだ未熟な身体は快楽に弱く、ほんの少しの刺激だけでも敏感に反応する。これを夜な夜な可愛がってやることも、もちろん日課に含まれているのだ。
待って、ご飯冷めてしまうという言葉を無視する事何度目か。視線の左下から、もの凄いスピードで何かが迫る。
その日の食卓には、幸せそうに頬袋に米を詰め込む幸村と、左頬を真っ赤に腫らした佐助の姿があった。