学園祭-前半-(20)
□政宗×幸村
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「おかえりでござる。政宗君」
自宅の門をくぐろうとした時、柔らかな声音に振り向けば。
(!幸村っ…今日もcuteだぜ)
財布片手ににっこりと微笑む隣人の姿があった。
思春期真っ盛りの政宗は、このお隣の綺麗なお姉さん…
もとい、
"可愛いお兄さん"に夢中。
政宗に物心付いた時すでに隣家に住んでいた幸村は、現在駅2つ先の大学に通う学生だ。
おおよそ年上には見えない童顔で、その昔見せてもらったアルバムの幼少の頃はまるで女の子のように可愛らしかった。いや、今も男としては充分過ぎるほどに可愛い。
そんな相手に懸想し、利き手を白濁に汚す日もしばしば。
華々しい高校生活を満喫することも出来ず、なんと不毛な人生だろうか。適当に晴らしてはいるが、その相手が幸村じゃないだけに満たされぬ心が悲鳴を上げていた。
「どうでござるか学校は。楽しいでござるか?」
「っ、オイ…頭撫でんなっ!」
いつまで経っても、幸村はそんな政宗を子供扱いする。
背丈こそようやく追いつくところだったが、5つの年の差はそうそう埋まる事でもなかったらしい。
今のように頭を撫でるのも、小さい頃から変わらない。
それが政宗には不満だった。
「オレはもう餓鬼じゃねぇ」
「そうでござるか?おれには、あまり変わってないように見えるでござるが…」
「〜〜〜ッの、」
クソ野郎!
とは叫べなかった。
そのクソ野郎に恋心を抱いてるのは己だ。罵倒できる資格なんて持っていない。