TOX2【長編】
□狂いだした歯車は止まらない
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「仕事ねーの？」
「……休んでるだけだ」
「あ、そ」
自分で聞いといてそのリアクションかと思わないでもないが、そういう奴なのだろう、こいつは
「……お前さｧ、俺様に何かしたわけ？」
「は…？」
「……正直どうでもいいけどな」
俺様には関係ないし、と呟く
その目は俺を見ていない
「……さぁ？俺に心当たりはないけど」
「ま、そうだろな」
これもまたあっさりと
俺の方を全く見ずに
「そういう気配り出来る奴ならこんなことなってないし」
「…どういうことだよ？」
「こういうことだよ」
ルインは吐き捨てるように言って自分を指さした
「……一応言っとくけど、別に俺様は二重人格だとかそういうんじゃねーぞ」
「……明らかにそうだろ」
「ちげーっつってんだろうが」
「それじゃあ今のが素だっていうのかよ？」
「……何でその二択なんだよ」
普通に考えてそのどちらかだろう
もうこの際これか素だと言われても信じるしかない
人間裏があるものだ
「何かすんげー失礼なこと考えてるだろ」
「……じゃあお前何なんだよ」
「はｧ？ルインだよ、前に名乗っただろうが」
そんなことを聞いていた訳じゃなかったのだが……
「つーかさ、お前どっかで俺様がクルスニクの一族だとか聞いたんだろ」
「！……やっぱりそうだったのか」
「……その様子だと自信はなかったみたいだな」
口滑っちまったなｧと全然気にしてない様子でため息混じりに言った
「困ったぜ……ほんっと口軽いの俺様の悪い癖だよなｧ」
「全然困ってるようには見えないけどな」
「そんな困るようなことでもないしな……少なくとも俺様にとっては」
「？」
それはつまり俺が困るってことなのだろうか
「……何さっきから百面相してんだよ」
「……していない」
「録画しておきたかったぜ……」
しなくていい
こういうところは相変わらずルインなのだけれど