TOX2【長編】

□【※】狂いだした歯車
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「……いらいらするな」


ため込むなんてらしくない
それにもしも命を狙ってきているなら今まで料理に毒を仕込むだのいろいろ方法はあったはずだ

何が狙いか分からないなら聞き出せばいい




「とりあえずシャワーでも浴びるか……」


今日は湯船に浸かりたいような気分ではない

折角張ってもらったところ悪い気がしないでもないが、別に使わなかったからといってルインなら文句も言わないだろう




バチッ……




「っ?!」



リビングに人の気配はないと思っていたのだが、今目の端に電気のようなものが走るのが見え、少し焦りつつそちらを確認すると……



「ルイン?」

「……」



ルインが所在なく立っていた
今電気のようなものが見えた気がしたが気のせいだったのだろうか


「おい……っ?!」


「あは……はは」



乾いた笑い声を漏らしながら、ルイン は俺の腕を掴んできた
見た目に反して相当な握力のようだ
若干骨が軋む音がした



「っ……おい!離せ!」

「はは……また命令かよ」



今までもこっちが命令口調で言うと、軽く毒を吐くことはあったが、何だかんだで従っていた
しかし今回は腕を離す気配がない


「離せって言って……」

「離さない……離したらいなくなるだろ……」

「は?」


いなくなるも何も、ここは俺の家だ
出て行こうが戻ってこようが俺の勝手だと思うのだが


「いい加減に……!」

「俺原因が分からないんだ……何で急に余所余所しくするんだよ」

「余所余所しくなんか…」

「してるじゃねーか!」


そう声を荒げて腕を握る力を増してきた


「っっ……!」

「俺は借金を返しきるまでリドウさんの側を離れない、どこにも行かせない……だから」

「落ち着……?!」













「めんどくせーな……だから俺様をお前のもんにしろっつってんだよォ」



掴まれていた腕をそのまま思いっきり腕を引かれたため、バランスを崩し床に倒れ込む羽目になった


いや、それよりも……


不覚にも俺を押し倒すようにしているルインの髪と目が深紅に染まっていた



「抱けよ……年端もいかない体だからって遠慮するこたーないぜ?」


その目を見てると思考が回らなくなってくる



「遠慮するようなキャラじゃねーだろ」


そんなことを言いながらルインは俺に口付けをしてきた
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