TOX2【長編】

□裸の付き合いとか
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「浴槽広いっすねー!感動もんですよー」

「そんなに広いか……?」

「あ、それ自分は身長高いっていう自慢っすか?俺には十分広いんですよーう」


確かに俺は高い方だし、こいつは……比べる対象がないので何とも言えないが、低い方なのだろう
本人が言うくらいだしな


「そういやお前いくつだ?」 

「ん?年っすか?12ですよー」

「じゅっ……?!」


ま、まぁそれくらいの外見ではあったのだが、あまりにも達者な口のおかげでそこまでガキだと思わなかった……


「この前誕生日来て12になったんですよー」


しかもついこの間まで11才だったという現実
一体何をどうやったらこう育つんだ……


……人のことは言えないか



「早く入ってきてくださいよー……さすがにずっと入ってたらのぼせちゃいますって」

「ん、あ、あぁ」


そうは言ってもやはり俺が入ると狭い気がする……
いや待て、ここで俺が遠慮するのはおかしいだろ


「仕方ないか……」

「えへへー、人とお風呂入るなんて初めてだな……」

「そりゃあ、風呂見たことないってなら当たり前だろ」

「もっと簡易な風呂なら入ったことあるんですよ?後は……川とか」 

「か、わ………?」


いや、川は違うだろ川は


「でも、うん、誰かと入るのは久しぶり……だな」

「俺も、そうだな」


当たり前なんだけれど
こうやって口に出してみると意外と新鮮に感じるものだ


「こうやって、誰かにもたれ掛かったりするのに憧れてたんだ」


そう言ってルインはもたれ掛かってきた


「ちょ、離れろ……!」

「あ、向かい合う方がよかったですかね?」

「そうじゃなくてだな……!」


ここは風呂場だ
さすがに大声を上げると隣に聞こえかねないので控えてはいるが、こういう場所でまで相変わらずの発言を繰り返すルインを猛烈に殴りたくなった


「いやー、向かい合ってると、ほら、いろいろ見えちゃうじゃないっすかー?何か気恥ずかしいっつーか……」

「……………」


今更それを言うのか
そもそもそれなら一緒に入るとか言うなって話な気もするのだが……

でもまぁ、そういうのを気にする年頃なのだろうか
自分の12才の時のことなんてさっぱり覚えていないけれど


「ふーん………何が見えるんだよ?」

「え?!ちょ、それはっすねー……」


顔は見えないが明らかに動揺を隠せていない声色をしている
……珍しい、かもしれない




「……そうそう、明日ユリウスのところに行くから」

「えっ……?」
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