TOX2【長編】
□思い還す歯車
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そう、俺たちが初めて出会ったのはあの孤児院だった
今思えばあの孤児院は潰れる寸前の危機的な状況に置かれていた(もちろん経済面のだ)のだが、あの当時子供だった俺はそんなことなど知る由もなかった
おそらくそれなりに保母さん達も優しかったのだろうし、環境もそれと言うほど悪くはなかったのだろう
あまり記憶に残っていないということはつまりそういうことなのだ
いいとも悪いともいえないが、あくまで常識の範囲で、子供に違和感を抱かせることなく育てることができるレベルの環境に
とはいえこれはあくまで俺の主観だ
ルインにとってそれがどういうものだったのかは計り知れない
俺とルインが一緒にいた期間はまた短いものだったのだから