TOX2【長編】

□重なり合う歯車
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分史世界で聞いたあの奇妙な話を一体どうするべきか
多分迷っているのだろう、俺は

いつもならあんな話を聞かされたところで全く気にしないか、馬鹿馬鹿しい戯言だと切り捨てているところだった

しかし今の俺は間違いなくあの話を信じている
証拠も根拠もなくても信じられた
それは多分、偶然にも分史のルインが、内面が、俺とそっくりな気がしたからかもしれない


どこがかは分からない
俺はあんなにあっさり自分の死を受け入れるつもりはない
他人を踏み台にしてでもここで生き延びてみせると決めているから

それでも似ていると感じる

分からない
分からないけれどおそらく
俺も分史のルインも同じだった


同じように自分と違うルインに嫉妬していた


否、ルインが違うわけじゃない
変わっていったのだ
変わることができるルインがうらやましかった




そのことに気付いた俺は、分史世界で聞いた話をルインにすることにした
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