TOX2【長編】

□輪廻する歯車
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「……落ち着いたかよ?」

「……心配しすぎだ」

「それにしちゃァ、随分ぐっすりおねんねしてたみたいだけどなァ?」


ふふん、と鼻を鳴らしてルインは嘲笑っていた

……いや、馬鹿にしてる風には聞こえない
普通に笑ってるつもりなのかもしれない


「……お前何で病弱だとか言ったんだ」

「前はそうだったじゃねーか」 

「だから何で知ってるんだよ……!」

「落ち着けっつーの」


言われなくてもこちらは落ち着いてるつもりだ


「あのなァ……昔のこと知ってるってことは昔一緒にいたって以外に何が考えられんだよ」

「俺はお前とは初対面じゃなかったのか……?」 

「……どうだろーな」


俺が睨むと、嘘だよ、と笑ってごまかした


「お前さァ、ディラックのところで手術受けてたろ」

「!」

「そんな驚くことじゃ……いや、普通覚えてないもんなのか」

「だから何の話なんだ!」

「落ち着いてねーじゃん」

「……」


落ち着いてないかもしれない
しかし落ち着いていられるような状況ではない


「お前が治療受ける時にさ、一緒にいたんだよ」

「お前が……?」

「必要な薬草を採ってきてくれと頼まれたんだ。んで、帰ってきたときにお前がいたっつーわけ」



そんなもの覚えているはずがない……


「それが初対面だったって言うのか?」

「いや、お前が孤児院から出て行く年に俺様は孤児院に入ったからなァ……お前は特に気にもとめてなかっただろーけど、俺様は知ってたぜ」

「っ……」


孤児院にいたことも知っているのか


「………本当に覚えてないのかァ?」

「知らないね」

「……ならいいんだけどよ」


こちらは覚えてないと言っているのに、ルインは薄く安堵の表情を浮かべた


「まぁとにかく、覚えてねーだろうけど、俺様に自分の難病のこと話してきたんだよ、聞いてもねーのに」


それは迷惑な話だ
過去の自分を恨んだ


「病弱だったのを知ってたのはそういうわけだ。別に隠すほどのことじゃねェ」




ん?それなら……



「……それなら始めから知り合いだって」

「言えるかばーか」


いや何でそこで馬鹿とか言われるんだ……!
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