TOX2【長編】

□噛み合わせたがる歯車
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「まさか本当に奢ってもらえるとは思わなかったぜ……」

「お前が言ったんだろうが……!」

「……正直俺様も若干戸惑ってる」


トリグラフではユリウスと鉢合わせになる可能性が高いと考え、ディールまで足を運ぶことにした

確かあいつの家はトリグラフ居住区のはずだ


「でもここにこれたのはいい機会かもしれねェ……」

「こんなところに用事があったのか?」

「ディールに用事があった訳じゃねーよ。でもこの街を出たとこってトリグラフの周辺よりは魔物が強いっておにーさんが言っていたからな」

「またユリウスかよ……」

「何拗ねてんだよ、嫉妬か」

「?!ち、違う!!」

「じょ、冗談に決まってんだろーが馬鹿かっ!」


こいつは無自覚にそんなことを言うからタチが悪い



「……別におにーさんを盗ろうなんて思ってねーから」

「いるか!」


全く意図が伝わらずいらいらしていると、珍しくルインは少し困ったような顔をした

それも演技かもしれないが、判断はつかない
それほど長く一緒にいたわけじゃない


「リドウさんってたまに意味のわかんねーとこでキレるよな」


そして開口それか

やはり喧嘩を売っているとしか思えない……


「喧嘩は売ってねーけど……あ、そうだ」

「ん?」

「エージェントって皆戦い慣れてるのか?」


突然何を聞いてくるかと思えば仕事の話だった
しかしこんな唐突に何故……



「……」

「……聞いちゃいけねーことだったなら聞き流すくらいしろよ」

「別にそんなことはないけどな……」


意図が汲めないだけだ



「……いろんなエージェントがいるからな、一概に慣れてるとは言えないだろうよ」

「そうなのか……」


そう答えるとルインは少し視線を逸らし何か思い出しているようだった


「もしかして戦闘慣れしていないエージェントだったのか……?」

「俺とユリウス以外のエージェントに会ったのか?」

「……まぁ」


と、少し視線をこちらに戻しため息混じりに言った


「前にエージェントに尾行されたんだけど、お前の部下じゃねーの?」

「?俺は命じた覚えはないぞ…?」

「でもよ、俺のこと知ってんのってお前とおにーさんだけだろ?」

「ユリウスにも聞いたのか?」

「一応」


ユリウスは多分しない……命令でもなければ
俺もそんな指示は受けていない


「別にどっちでもないなら誰でもいいけどよォ……あ、おねーさん!オムレツもう1つ!」

「?!」

「かしこまりました」


話の途中でおかわり注文しやがった……!!
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