TOX2【長編】
□自分で決めたことだから
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「てか俺いつになったらお金稼ぎに行けるんすかねー?」
「明日からでいいだろ」
「……まぁリドウさんがそれでいいなら別に俺は問題ないけど」
昨夜『あんなこと』があったにも関わらず、ルインの調子は相変わらずで、こちらが拍子抜けしてしまいそうなくらいだった
過ぎたことは気にしない質なのか、それとも気にしていない振りなのか……
「どうしたんすかー?珍しいですね、ぼんやりするなんて」
「いや……お前は昨夜みたいなこと慣れてるのか?」
「は、はぁ?!」
やはり慣れてるわけじゃなさそうだ
「いいや、気にしてなさそうだったからさ」
「べ、別に気にしてないとかじゃなくて……気にしても仕方ないっていうか……」
恥ずかしいし
と至極真っ当な意見に頷く他なかった
「そ、そんなことより!おにーさん探さないと!」
「探すも何も……部屋にいるんじゃないか?」
「……いや、部屋ってどこっすか」
しまった……
彼の部屋は分史対策室室長部屋である
無関係な人間をその名前に触れさせると面倒なことになりかねない
「……ロビーで呼んでもらえばいいか」
「部屋も気になるけど」
「………」
こいつは相変わらず必要ないところで鋭くなるよな……
「……俺は席外すから」
「えー、ぼっちは嫌ですよー」
いや、ユリウスがいるだろ
「2人で話がしたいらしいからな、用事か済んだら連絡寄越せよ」
「迎えに来てくれるんですか!」
「……話の内容によってはそのまま街道に放り出してやるけどな」
「死にますよ!瀕死じゃなくて死んじゃいますよー!」
後ろで騒いでる声が聞こえないでもないが、またユリウスと出くわすのもあまり好ましくないので、部屋で待機しておくことにした
……どうせ内容も聞きたくないようなことだろうしな