TOX2【長編】

□組み込まれる歯車
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「ほう……こいつがルイン・クルスニクか」

「はい」

「……まさか自分から連れてくるとはな」

「っ……」


リドウさんは連れてくる気がなかったということなのだろうか
結局連れてこられたわけだから俺様からしたら一緒なわけだが


「ルイン君は先ほど綱殻化したのだったな?」

「……まぁ」

「ふっ……そう固くなるな」


別に固くなってなんかないと言い掛けて、この人がリドウさんの上司だと思い出した
リドウさんの上司だからと言って俺様が従わなければいけない理由もないが、くだらないことで迷惑はかけられないか……


「ルイン・クルスニクです」


確か自己紹介というのはこういう風にするもののはずだ
生憎今までまともにする相手もいなかったが

……リドウさんは別だけど


「ところで俺は何で呼ばれたんすかね?」

「話が早くて助かる。君にはここで働いてもらいたい」

「もらいたいって言われても……」


ここで働くとなるとこの人が上司か……
いや、そもそも俺様には上司なんてものはいなかったわけだが、それが従わなければいけない人であるという知識くらいはある

それに従った記憶も……



リドウさんの方を盗み見ると苦虫を噛み潰したような顔で下を向いていた


これはどっちなんだ?
はいというべきか、断るべきか……
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