けれど

片方が幸せだとしても


もう片方が幸せとは限らない。



男女の仲は其れほど複雑で面倒臭いモノなのだ。




少なくとも、此の世界では。







『月草の君へ(心の移ろいやすい人)』





「はっ…どうしたんだよ、急に」
「ん、ぅ‥んむっ///」


もごもごと

言葉にならない言葉で答える耶輸陀羅。




だが、口に咥えた立派な逸物のせいで上手く喋れる事が出来ずに居た。




「まぁいいや。もっとしっかり咥えてくれよ。な??いいだろ??」
「んぐぅっ?!」


しっかりと後頭部を押さえ付けられ、喉奥までしゃぶらされる。




瞬間、耶輸陀羅は痛感させられてしまった。

同じ兄弟でもこんなにも違うのかと―――






「は、ぁっ///気持ちいいぜ、耶輸陀羅」
「っ、んん‥んうう゛〜っ///」


どちらかというと長さに定評のある閻魔大王と違って、地蔵菩薩の方は太さに定評があるらしい。



実際、カリ部分が太いせいで耶輸陀羅の小さな唇では咥えるのも一苦労だった。

とはいえ、其処まで極端な差がある訳でも無く



形も色も兄弟そっくりで、ふさふさとした立派な陰毛も愛しい男にそっくりなのが耶輸陀羅にとってはまた憎らしくも愛おしい所であった。




「は、ぁっ///」


息苦しさに思わず唇を離せば



「なぁ」
「!!!!!」
「‥こんなに涙溜めて―――大丈夫か??苦しくなかったか??」



酷く優しい手付きで目尻に溜まった涙を拭ってくれる彼。



其の細やかな仕草一つ一つが血を分けた実の弟そっくりで。

思わず愛しい男と被って見えてしまった耶輸陀羅は、ドキドキと高鳴る胸を押さえながら笑ってみせたのだ。





「だいじょうぶ、です///」


自ら奉仕を望んだ手前、苦しいなんて言える訳が無い。


見た目こそおっとりしている様で、意外と我慢強い性格の彼女であったが





「無理すんなよ」
「あっ///」
「こっからは俺が良くしてやっから。アンタは天井の染みでもテキトーに数えててくれ」
「地蔵菩薩様っ?!」


そんな彼女の本質を見抜いていた地蔵菩薩は、コレ以上彼女に負担を掛けまいと半ば強引に寝台の上へと耶輸陀羅を押し倒してやった。



そして豊満な胸にむしゃぶりつく様に吸い付いては



「可愛い乳首だな。俺が起たせてやるよ」

陥没している桜色の乳首をレロレロと舐め始めたのだ。




そうすれば


「あぁっ///いや!!地蔵菩薩様、どうして‥っ」

世間知らずでまだまだ性の知識に疎い彼女は、ムクムクと起ち上がる其れに強烈な羞恥心を覚えて嫌々と首を振ってみせたのだ。




「ん、んっ///あ、あ‥おっぱい、吸っちゃいやぁ!!」

じゅる‥ぶちゅるるるっ


わざと下品な吸い方をする地蔵菩薩の髪を軽く引っ張ってやる。




こんな獣の様な淫猥な性交、今まで知らなかった。

清楚で控えめな彼女にとって恥ずかしい以外の何者でも無かった筈だった。





だが―――



「ハハッ、すっかり勃起してやんの」
「っ///」
「可愛いなぁ」

ぷっくりと痛いくらいビンビンに起ち上がった乳首を愛しげに見詰める地蔵菩薩を諌(いさ)める事が、どうして彼女に出来よう。




貞操は勿論、愛しい男にならば命だって捧げられる。

深く深く、閻魔大王を心底深く愛して居た耶輸陀羅にとって



瓜二つと言っても過言では無いくらい似ている兄の地蔵菩薩の愛撫は、まさに閻魔大王の愛撫に等しく彼女の心を完全に支配していた。






だから





「じ‥地蔵菩薩様ぁ///」
「何だ??耶輸陀羅」



どんな恥辱だろうと、どんな破廉恥な行為だろうと喜んで受け入れる事が出来た。




「もっと‥耶輸陀羅を苛めて下さいまし///」
「!!!!!」


そう言って

躊躇いがちに長い小鹿の様な足を片方だけ上げてみせる耶輸陀羅。


すると普段は硬く閉じられた蕾がくぱぁっと開かれて―――





「貴方様で埋め尽くして下さい。耶輸陀羅の心を///」

つぅっと、太腿の付け根を辿る様に透明な雫が陰部からシーツ目掛けて流れ落ちていったのだ。




伏目がちに潤んだ瞳。

艶やかに紅潮した頬。


更に男好きするむっちりとした、肉付きの良い白い肌。




ただでさえ極上の容姿をしているというに、其の上惚れた女の誘いとあっては断わるにも断りきれないだろう。



尤も、彼に断わるという選択肢は元より無かったが。






「あぁ、いいぜ」
「アンタの全てを俺が満たしてやるよ」
「余計な事も一切考えられないくらいにな」


申し訳程度に生えた金色の茂みをそっと掻き分け、熱く滾(たぎ)った逸物をゆっくりと焦らす様に埋めていく。



ズズッ‥ズズズズ‥…



「は、あぁあっ!!んん、おっきい…ですっ///」


其の緩慢な動作のせいなのか

いつもよりもより明確に、彼の侵入が直に感じ取れた。





「んくっ///」
「ッ、全部…入ったぜ///」


ググッ

子宮口を押し上げる様に根元まで捻じ込んでやる。



其のもどかしい感覚にぶるぶると耶輸陀羅の身体が震え…




「はぁあっ、す…すごい、です!!奥まで、入ってるのぉ///」

ぴったりと隙間が一切無いくらい密着してくる其の感覚に、堪らず耶輸陀羅が歓喜の声を上げる。




「あぁん!!地蔵菩薩様素敵ぃっ///」
「そりゃどーもっ」


清楚な彼女からまさかこんな言葉が聞けるなんて。



何て淫猥なのだろう。

ゾクリと、征服欲を刺激された地蔵菩薩はペロリと下唇を舐めてみせた。






「はやくうごいてぇっ///」
「そう焦るなよ」
「ひぁっ///や、そこ…弄らない、で!!はひぃっ」
「とか何とか言っちゃって。好きな癖によ」
「あぅううぅううっ///や、それズルイですぅううっ」


子宮口に先端を押し付けたまま陰核をクリクリと執拗に弄ってやれば、涙を流しながらビクビクと震える耶輸陀羅。


最初は本気で嫌がっているのかと勘違いしそうになったが―――






「あっ、あっ、やん///あぁ、そこっ!!感じちゃうっ///おま×こきもちいいっ」



くねくねと自ら快感を欲しがる様に動く淫らな腰使いや

其れから、物欲しそうに見詰めて来る潤んだ瞳


更には快感の余りだらしなく開かれた唇から零れる涎(よだれ)に




地蔵菩薩は、今まで何度も何度もうっかり暴発しそうになるくらい興奮させられていた。





「此処が良いんだろ??」
「あぅ、あうっ!!そ、そおです!!そこが、弱いんですぅっ///」
「そこって??ハッキリ口に出して言ってみろよ。じゃねーと弄ってやらないぜ??」
「ふぅうっ、あ…あ、おまん×のおくが、しきゅうの入り口ズンズンされるのが大好きですぅ!!」



清楚で可憐な彼女が此の瞬間だけは淫らなタダの女に成り下がるのが最高に嬉しかった。


卑猥な言葉を言わせて、屈服させるのが気持ち良かった。





今だけは自分を見てくれる。

そして、今だけは弟である男手すら見た事の無い実に淫乱な彼女が見られるのだ。




男として、こんなに喜ばしい事は他に無いだろう。



そう思える程―――





「はぁはぁ、もう…もうイカせて、くだ…んあぁあっ!!意地悪しないで、地蔵菩薩様ぁっ///」
「あぁ、イカせてやるよ。何度でもな!!」
「んくぅうううっ///や、や…だめ、いっちゃいますうぅうう!!」




彼は幸せだったのだ。




「ふあぁあああっ///」


チョロチョロチョロ…



熱い液体をドクドクと奥に注ぎ込まれると同時に、余りの快感に堪らず放尿してしまった耶輸陀羅。



ビクッ、ビクッと時折身体が切なく痙攣し


そして




「ご、ごめんな…さい///」

粗相(そそう)をしてしまった罪悪感から、彼女は涙を流して小さな声でひっそりと謝った。




そんな彼女が愛しくて愛しくて仕方なかった地蔵菩薩はクスリと笑って




「いいよ、別に。それよかこっちに来いよ」
「あっ///」

強引に彼女の腕を引っ張り、腕の中に閉じ込めてやったのだ。






「…愛してるぜ、耶輸陀羅」
「わたしも、あいしてるの。地蔵菩薩様のことを」


優しく優しく自分を抱き締めてくれる此の腕が好き。


耶輸陀羅は初めて閻魔大王では無く、地蔵菩薩に対してそう思う事が出来た。





好きだと

此の腕を放したく無いと。




其れが例え一時の感情だったとしても、彼女は紛れも無く地蔵菩薩を愛したのだ。



そして、元夫や愛した男の顔を思い浮かべながら




「本当に浮気性なのは…わたしなのかもしれませんね」

段々と落ちてくる瞼に逆らう事が出来ず、とうとう静かに瞳を閉じてしまうのだった。



※何だかビッチっぽくなってしまった。まぁ嫌いじゃないけど。でもやしょ様は閻魔大王一筋なのが作者的には良いです。

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