廻る運命
□第4夜 憧れかそれとも
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行きながら私は思った。
あの赤髪の女の子の名前ききそびれたなと。
そう思ったのもつかの間だったどこか血の匂いがする部屋に連れて行かれた。
そして私は後ろから斜めに切られた。
「てめぇはもう用なしだ。白瑛じゃなかったのでな。ここで死んでくれ。」
そう男は言って私の心臓めがけて刺そうとしてきた時。
別の男がその剣を止めてくれた。
その男は私にいつも優しくしてくれた人だった。
名前は明猟心(めい りょしん)。
何故かその人だけは心の声がいつも聞こえなかった。
だから気を遣う事がなかったから一番気を許せた相手だった。
「猟…猟心!!」
助けてくれた。怖かった。これで帰れる。
そう思った。思ったのに。
「こいつはまだ使い道がある。いいようにいたぶれ。殺しては身代金が手に入らんからな。」
そう猟心が言う。頭が真っ白になった。
4歳の私にはもう分かっていた。
身代金というものがどいうものなのかを。
「ね、ねぇ…。猟心。い、いったい…どういう事なの?」
聞くのが怖かった。返事なんかもう決まっているものだから。
すると、猟心は私の胸ぐらを掴んでもちがえて私を殴った。
「あ〜うぜぇ〜。てめぇのご機嫌とるのも疲れたんだよ。今は皇帝に身代金を要求してんだよ。お前、皇帝一家に気に入られていたもんな〜…なんて言っても分かんないか。」
そういうと私を離した。私はもう泣いていた。
猟心は分かってない。身代金の意味ぐらい私はもう知ってる。
でも、そんな事よりあの優しい一家に迷惑をかけていることに涙が溢れた。
きっとあの優しい人達の事だ。
私の為に身代金を払ってしまうかもしれない。
止めないと、私は思った。
それでも、どこかで信じ切れてなかった。
猟心がこんな事をするなんて。
「でも…でもぉ!!…猟心はいつも優しくしてくれた!!!わたしがみんなの心の声がきこえる言ったら優しくなでてくれた!!しんじてくれた!!猟心の心だけきこえなくて…何もかもが…ほんしんにきこえた!!」
大粒の涙をボロボロ流して必死に私は言った。
すると猟心は笑顔になって手をさし出す。
私は笑顔になってその手を掴んだ。
その時は疑う事をしなかった。
「だってよー。俺は魔導士なんだぜ?俺のルフをお前に見せないようにするなんて簡単なんだよ。」
そう言うと猟心は私を壁へと投げつけた。
この瞬間私は猟心の事を忘れる事にした。
そしてただ、白龍達の事を考えるようにした。
そして数時間。私への暴力は絶えなかった。
夜になって猟心は疲れたのか私を壁に蹴りつけてから部屋を出た。
正直言って、痛さのあまり意識がとんでもいいほどだった。
でも、いつか助けがくると思うと意識がとばなかった。
そんな中猟心が戻ってきた。すごい剣幕で。
そして私の首を掴んでもちあげて叫ぶ。
「どうなってんだよっ!!!!てめぇはあいつらに好かれてたんじゃねぇのかよ!!」
そういうと勢いよく私を投げた。
私はせきをしながら首あたりをおさえた。
言ってる意味はすぐに理解した。
なぜなら猟心がまた私へ叫んだからだ。