廻る運命

□第2夜 二人での買い物
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「あ、えっと…人を待ってるんです。おかいまいなく。」

営業スマイルで私は答えた。

それでも最後のおかいまいなくで声が低くなった。

それに気づきもせずにさらに明るく話しかけてきた。

「なぁなぁ、待ってる奴なんかほっといてさ俺達と一緒に良い事しない?」

「ごめんなさい。遠慮しときますね。」

一礼をして丁重に断ったのにもかかわらずまだ迫ってくる。

あげくのはてには手首を掴まれた。

「ちょ!?は、離してください!!やめて下さい!!」

必死に逃れようとしたが掴まれた時に直感で分かっていた。

力が負けてる。これは不味い…。と。

周りの人はチラリと見るだけでそそくさと逃げて行ってしまう。

誰か助けて下さいよ〜!!

正直、魔法でフルボッコにしたいけど…ここで魔法は使えないし、もし使ったらこの人達多分死ぬし。

そんな事を頭の中で考えていたら私の手首を掴んでいた男がある事に気が付いた。

「お?なんだこれ。おぉ!!高そうなブレスレットじゃねーか!!姉ちゃんこれくれよ。」

そう、ルフを見えなくする魔法がほどこしてある私が作ったブレスレットに気が付いたのだ。

正直これを取られたらやばい。

気が狂ってしまうかもしれない。

なんとかとられないようにしないと…!。

「あげれません!それは私とって必要なものだからです!いい加減に離してください!!」

必死に抵抗するが両腕を塞がれた。

やばいと思ったのもつかのま、ブレスレットを取られた。

一気に周りの過去、声が頭に流れ込んできた。

おもわず叫んでしまった。

「何叫んでんだよ、そんなに返してほしかったら自力でとってみろよ!はははは!!」

ブレスレット取った男が言う。

私はそんな男の声を聴いていなかった。

いや、正確には聞こえなかった。

今、耳には皆の心の声が聞えていたからだ。

とりあえずブレスレット取ろうとした瞬間。

青藍!!!そう私の名前を呼ぶ心の声が聞こえた。白龍だ。

顔をしかめながらも私は笑った。

男たちは何笑ってるんだと私の腹に蹴りを入れてこようとした時、白龍がその足を止めてくれた。

白龍からは怒りが感じられた。

しかも初めて見るほどかなり怒ってる。

白龍が私を捕まえていた男を睨む。

男はひるんで私を解放してくれた。

それでも私にはもう何も聞こえていなかった。

頭がボーとして何も考えられていなかった。

頭には未だに誰かも分からない過去が流れ込んでくる。

そんな中、白龍の過去が流れ込んできた。

燃え盛る炎の中、狂ったような兵たちが襲いかかってくる。

それに変な恰好の人達も。白龍の一番上の兄、白雄様は言う。

まだやられるわけにはいかないと。

でも、二番目の兄、白蓮様は死に白雄様ももうなにがどうなっているわからないほどひどい火傷だった。

私は涙が溢れそうになった。

ただ必死に涙をこらえながら私は小さい声で言った。白蓮…様と小さくつぶやいた。

そんな中もう少しで涙が溢れるって時に、映像は消えた。声も消えた。

「あ、あれ?私…」

映像が消えた瞬間思考がやっと戻ってきた。

そして私は座り込んでいて私は何故か小さくだが、手を伸ばしていた。

その手の親指で止まってはいるがあのブレスレットがあった。

そして目の前にはジュダルがいた。

一応はフードをして変装してきていたけど私にはすぐわかった。

黒い服がチラリと見えてますもん。

横を向くと白龍がいた。

泣きそうな顔で私を見ていた。

頭の整理が追い付かないなか、ジュダルが話し出した。

「たくよー…その……ブレスレットだっけ?取られてんじゃねーよ。バーカ」

身をかがめて私を馬鹿にするジュダルにカチンときてかなりにこやか(黒笑い)で返した。

「はいはいはいはい。す・い・ま・せ・ん・でしたねー。」

私とジュダルの間に火花が散る。

それを消したのは白龍だった。
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