アクセル・ソード・バースト
□HaveWing
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「きゃぁ!?」
放った杭はスティールに直撃し、近くの細木を巻き込みながら吹き飛ばした。
「硬い……。」
杭打ち機は硬い物を破壊するために用いられる。
なのに今の一撃で2割しか削れなかった。
直撃したのだからもっと削れると思っていた。
つまりスティールの装甲は、僕の杭打ち機の一撃を最低1発は防げるだけの防御力を誇る事を意味する。
そう思考してる間にスティールは立ち上がった。
見ると、当てた部分の鎧が少しヘコんで、亀裂ができていた。
後一撃当てれば破壊できそうである。
だけどスティールもそれは解ってるようで、立ち上がった場所から動かずに剣を正眼で構えている。
「その構えは――」
構えと身に纏う空気、そして今までの動きを見て僕は気づいた。
「――まさか、《完全一致》。」
僕やチーちゃんのようにリアルでやってる事が素直にアバターに反映されない事の方が多いブレインバーストにおいて、稀にリアルでやってる事とアバターが一致する事が有る。
そのようなアバターの事を《完全一致》と呼ぶ。
「キャァアア!!」
突然ベルの悲鳴が右側から聞こえ振り向くと、[クワイアーチャイム]を砕かれ装甲をひっぺがそうとしたような傷が全身についたベルが倒れていた。
「ベル!?」
慌ててベルの体力ゲージを見ると零になっていた
目の前敵に集中し過ぎててベルがやられたのを見逃していたみたいだ。
そしてそのままベルを倒したアバターが近づいて来る。
「なっ!?」
そのF型アバターを見て僕は驚愕した。
防御力の高い緑色のベルの装甲を短時間で突破した大きな要因であろう前3本後ろ1本の鋭い爪が付いた足も、体が赤紫の上半身と青紫の下半身によるツートンカラーなのも本来驚愕の対象になるだろう。
でも、僕等にとってはそれよりも凄まじい特徴を持っていた。
「……翼?」
そう、ホーク[Hawk]の名にふさわしく背中に赤紫の翼が生えていた。