バカとテストと断罪者

□第3問 私と戦争と学年3位
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「実はなぁ、俺はこの学校ォで一度たりとも本気出してねェんだ。」

……………はぁ?
クラブの空気が今までに無いくらい凍った。

「冗談、よね。」

だって手を抜いて学年3位なんて事が有り得ない。
もしそれが本当だとしたら………。

「あァ、ちょっと言葉がたりなかったみてェだな。」

空気が凍ったのに気づいた元凶がばつが悪いような顔をして続ける。

「重ねとくと、俺にとって本気ってェのは精魂つきはてるぐれェ集中ゥする事だからよォ。普段は絶対出さねェよォに線引ィてんだよ。」

「……何でだい?」

「オイオイィ、俺が勉学以外に何も気に止めねェ止める必要がねェよォなガリ勉だったら、お前ェ等有り得ねェとかほざかねェだろォが。」

久保君の質問に即答する羽狛くん。
それは解る。
ただそれよりも、

「ねぇ、もしも全力で試験受けたらどうなるの?」

嫌な胸騒ぎが止まらない。

「あァ?ちょっと待て、そォだなァ―――」

「皆さん、話を聞いて下さい。」

羽狛くんが頭の中でどうなるのか考え始めたら担任の高橋先生が割り込んで来た。
羽狛くんに注目していたみんなが前を向き、羽狛くんもそれを見て考えるのを止め前を向いた。

「たった今Fクラス対Dクラスの試験召喚戦争が受理されました。開戦は昼休み後ですが私はこれから戦争の準備をしなくてはいけない為、これより自習とします。」

その報告にみんながざわめいた。
試験召喚戦争とはテストの点数に応じて強さが決まる召喚獣を用いて戦う戦争の事で、召喚戦争や試召戦争なんて略される。
この戦争の特徴は設備のランクが低いクラスが勝った場合負けたクラスの設備と交換できる点。
ただ、振り分け試験からそこまで時間が経ってない四月の今では過去最悪とも呼ばれる生徒も居るFクラスがたとえDクラスがでも勝つ見込みは殆ど無いと言える。
「……か……てこたァ……は…………で………表ォぐれェは…………ろ。」

何か聞こえたからその方向を向いたら前の席の羽狛くんがブツブツ何か言いながらノートパソコンに打ち込んでいた。
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