バカとテストと断罪者
□第2問 私とデジャビュと転入生
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坂本side
福「では狩谷くん、入って下さい。」
『はい。』
ガララッ
坂(なっ…。)
担任の福原に呼ばれて教室に入って来た計算外の兵士を見て俺は強いデジャブ感に襲われた。
だが俺は一度も彼と会った覚えが無い。
だからそれは気のせいだと分かっているのに、短くバッサリと切られた乾いた血のように赤黒い髪と深く綺麗な闇のような黒の目を持ち、俺から見ても比較的高い背に噛み合う程度に細かく筋肉を付けている男子を見かけた記憶は無いのにデジャブ感が拭えない。
狩「狩谷 音操、狩猟の狩に谷でカリヤ、音を操るって書いてネク。得意科目は理数系、苦手科目は特に無し。ここに来たのは振り分け試験の日付を間違えたから。趣味は音楽鑑賞で特技は開発、座右の銘は一騎当千、好きな言葉は下克上。これからよろしく。」
明「はい。」
福「何でしょうか。」
計算外の兵士、狩谷の自己紹介が終わってすぐに一つ横に跳んだ席、もとい卓袱台に座ったバカこと明久が手を挙げた。
坂(何が原因なんだ、どこであいつを見たんだ。………駄目だ、全然思い出せねぇ。)
そんな中俺は未だに拭えぬデジャブ感について頭を回らせていた。
明「あの、狩谷くんに質問が有るんだけど。」
狩「別に構わないけど、何だ?」
明「どうしてここを、この学校を選んだの?」
質問として間違ってない質問、バカな明久がそんな質問をしたのを普段ならいじってるとこだが今はこの違和感をなんとかしないと―――。
狩「この学校だからだよ。」
―――その答えはデジャブ感の根源、狩谷が答えた。
明「え?」
狩「だって色々と制限やルールが有るって言っても学校公認で‘戦争’が出来る所なんて他に無いだろ。だからだよ。」
その言葉を聞いてデジャブ感の理由がはっきりした。
雄(そうか…こいつ、あいつとにてるんだ。)
中3の夏頃―
?『近場で進学するなら俺は絶対ェ文月だな。』
坂『なんでだ?』
そいつは、中学に上がったばっかりの、ただむやみに暴れてた俺に戦いを教えた師匠に近い存在で――
?『俺が言ゥ事は決まってんだろォ?戦ェんだぜ、戦争ォをよォ!』
坂『あぁそっちか、確かにお前らしいな。』
?『そっちってなんだ、そっちってェ。』
坂『いや、“護道”の方のお前で考えると、理由が解らなくてな。』
?『うるせェ。』
圧倒的身体能力で偽善を振るう姿から彼の戦いを見たもの達に“護道魔牛”と呼ばれる緑眼黄髪の青年、羽狛 義弥[ハネコマ ヨシヤ]に……。