アクセル・ソード・バースト
□Cross
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私は今電車に座っている。
否、戻って来たと言う方がまだ正しいのかもしれない。
「お疲れ。公式デビュー戦勝利おめでとう。どうだったか?」
‘こっち’に戻ってすぐに隣に座っていた焦げ茶色の髪をした青年、[草摩 洋大(ソウマ ヨウダイ)]が私を挟んで座っているお兄ちゃんに話し掛ける。
「あぁ、ありがとう。それにしてもあの2人めんどくさかったな。」
「確か「いや、あの2人はレギオンの中だと相当まともだ。」―えっ?あの2人の能力結構せこいじゃん。」
私の同意発言を遮り否定したのは、首まで伸ばした黒髪の青年でさっきまでお兄ちゃんと一緒に戦っていたお兄ちゃんの親であるチェアル・マッド、本名[笠野(カサノ) まひる]だった。
あの2人がまるで普通だと言う発言に疑問を返した。
その疑問に答えたのは洋大さんだった。
「あいつらはあくまで自分達の能力や武器を使ってんだぞ。相手を動けなくした上で狙撃する。今回はその戦略で戦っただけだ。」
「確かにそうだったけど…。」
洋大さんの言う事も解る。
確かに私の表現が間違ってたかもしれない。
でも、正々堂々と戦う訳じゃないから違和感を感じてしまう。
「それにあの茨は触れただけで死ぬような物でも無いし、デカくても植物だからお前や桐ヶ谷なら突破するのは簡単だぞ。」
「…ついでにあいつらの居るレギオンのマスターのずる賢さと小物っぷり、それに生ゴミっぷりは正直無いぞ。」
「「・・・えっ?」」
まひるさんがいきなり口を差して言った言葉にお兄ちゃんと共にまひるさんの方に振り向いたが何かを思い出したのか「…ピエロ…す」と明らかな怒気を滲ませながら呟きだして話を聞けそうに無くなった。
「そ、そういえばアスナどうしたかな。」
お兄ちゃんが少し凍結した空気を和ませるためにそう言いながら指を少し動かした。
すると視界の端に画面が出てきて、その画面の中にはお兄ちゃんとアスナさんの子どもと自称するAI、ユイちゃんが居た。
「ユイ、アスナの調子は?」
お兄ちゃんは気軽にユイちゃんに話しかける。
でもその返事も衝撃的でまた固まる事になる。
「はい。現在ママは仕掛けたり仕掛けられたりを色々な場所で繰り返して6戦6勝、撃破人数10人です。」
「・・・はい?」
「・・・えっ?」
「どんだけ、必死何だよ。」
「・・・ご、ご冥福をお祈りいたします。」
驚いて二の句が継げないお兄ちゃんと私、いつの間にか元に戻ってたまひるさん、両手を合わせて目を閉じてる洋大さん。
空気が再び、だけどさっきよりも酷く凍りついた。