イナイレ-イナGO

□the past rainbow ー虹ー
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虹というのを見たことがあるだろうか。
科学が発展した現代ではもう見られなくなってしまった、雨上がりに表れる七色に輝くアーチ状の虹。
現代でも過去でも未来でも、見られる人はそう多くないはずだ。

だから、俺は感謝する。

奇跡を起こしてくれた神に。
そして、過去に。




ーーあの時見た虹を、俺は一生忘れない。







80年前、世界は歪んだ。
たった一人の少年からの一言で。
その歪みは時代を追うにつれてだんだん大きくなっていった。


「つまり、オペレーションーー歴史介入は意味が無かったという事ですか」
「うむ、残念ながらその通りだ」


歪みは見えない。
だから、誰もその歪みの大きさを知ることが出来ない。


「どうして影響が無かったのでしょうか」
「まだ原因が分かっておらん。しかし一週間経った現在まで歴史の変わった様子はないのが事実だ」


ただ確実に言えるのは、その歪みはもう修正のできない歪みになりつつあるという事だけだった。
目に見えないものがだんだん大きくなっていくのは、一部の上の人間にとってとてつもない恐怖を感じられた。
だから、早々に手を打つことにした。
恐怖を、1ミリも残さず消すために。


「では、意味が無かったという事はーー」
「意味が無くてもオペレーションは失敗した。お前達には引き続き1ヶ月間の謹慎をしてもらう」
「サー、イエス、サー」


バダップ・スリードは王牙学園の薄暗い第二会議場で敬礼の姿勢をとった。


「それとーー」


再びヒビキ提督のいる遥か上の方を見上げる。


「これは読んでおけというお達しだ」


ヒビキ提督がいる所から、何かが投げられる。
それは、とてつもなく大きな、本。
バダップはそれを難なく受け止めてーー。


「サー、イエス、サー」




オペレーション・サンダーブレイク。


一週間前に歴史を塗り替えるべく行われた、軍事上の作戦だ。
歴史とは過去のこと。過去は現在には勝らない。それは軍においても当然のことで、誰もが失敗する筈がないと考えていた。
しかし、実際は違った。
オペレーションは失敗したのだ。完全に。

過去からみた未来、つまり現代は破滅への一歩を踏み出していると言っていいほど荒れていた。日々目まぐるしく変化していく社会は派閥争いが激しく、それについて行けない者は落ちてゆく。
それは子供達も同じだった。
しかし、人々は見つけたのだ。楽しいものを。



サッカー。



古くから人気のあったそれに、人々の目は向けられた。
サッカーに心奪われた子供達は、どんどん弱体化して行く。子供達は未来。
サッカーは今や、社会が崩壊して行く為の道具となりつつあり、同時にそれはサッカーが全てを支配しているという意味でもあった。

そう、過去と同じにならないように………。
もう、過去を繰り返さないために………。




オペレーション・サンダーブレイク

指導者:ヒビキ提督
実行者:王牙学園小隊、チーム・オーガ
目的:80年前のフットボール・フロンティアで優勝した雷門イレブンのキャプテン、円堂 守のサッカーへの意欲を消すこと。
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