贈り物

□君に届くまで
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今日は11月11日
ポッキーの日だ。
だから俺ことスティング・ユークリフは片手に菓子箱を持ち、とあるギルドへ向かった。


「ナツさーん!!」


勢いよく妖精の尻尾に入る。きっと他ギルドの者でこんなにも馴れ馴れしく入る奴は俺くらいだ。


「スティング!何しに来たんだよ」


ナツさんは俺の呼びかけに怠そうにこっちを向く。だけど無視することは今まで1度もないのだ。俺はナツさんに真っ直ぐ歩いていく。


「今日は何日ッスか?」
「今日?11月11日」
「で」
「で、って言われても他に何があんだよ」
「ナツさん鈍いなぁ、コレだよ」


そう言ってニコニコしながら持ってきたものを見せる。


「菓子?」
「ポッキーの日ッスよ!」
「ポッキーの日ぃ?」
「はい!だからポッキーゲームしましょう!」
「ポッキーゲームってアレだろ?端と端を2人でくわえて…」
「そうそう!」
「どっちが長く食えるか勝負するやつだろ?」


ん?
あれ?ポッキーゲームってそんなんだっけ?
どっちがどこまで羞恥に耐えれるかとかそんな感じの一種の度胸試し的なんじゃ…


「いいぜ、勝負だスティング!」
「は、はい!」
「ハッピー!合図頼む!」
「あいさ!オイラにまかせて!」


少し予定外の展開に慌ててる俺の横でナツさんはポッキーを取り出して口に差し出してきた。


「ほら、はやく」
「は、はい」


完全に主導権をもってかれてしまった俺はなすがままにスタートしていた。
はっと気づいた時には遅く目の前までナツさんが迫っていた。


「?!」


あと少しで唇が触れるとこまで迫っていた、があまりに急で驚いて体を後ろに引いてしまった。俺のバカ。


「俺の勝ち〜」


と、どや顔で見てくるナツさん。
こっちの気も知らないで…と下を向いていると、ナツさんが覗きこんできた。


「そんな悔しかったのか?」
「…そんなんじゃないッスよ、ただ…」
「ただ?」


あともう少しでキス、できそうだったのに、とはさすがに言えない。
だから…


「ナツさんもう一戦、どうです?」


1本取り出して言う。


「へっ臨むところだ」




君の唇に届くまで――









(いってぇーーー)
(わりぃわりぃ噛んじまった)
((くそぅ絶対キスしてやる))







20130123

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