□熱血新人とツンデレ谷村先輩
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「先輩!今日こそ稽古つけてください!」

「おー、いいぞ」

「あ…あ……本当ですか!?!?」

「ちょ、うるさいよ……落ち着けって」

「やったああああ!!やっと、やっと……!」


失敗した。とか呟く谷村先輩
いつもは適当に流されて稽古なんてつけてくれないのに、何かいい事でもあったのか、今日は珍しく稽古をしてくれるらしい

谷村先輩は決して大きくない身体なのにとても強い
そしてその動きがスマート!合気道とかそういうものらしい。
私は詳しくないので分からないけれど、前に誰かがそう言っていたのを聞いたことがある


「よ、よろしくお願いします!」

「お手柔らかに」


向かい合って立つだけで気迫を感じる…!
すごい…!!
一礼をして、踏み込んで、なんとか谷村先輩を捕らえようとするけど、スルリと躱され、道場の畳の上に伏せられた


「ううう…!も、もう一本!」

「はぁ……」


それから何回か組んだけれど、一度も谷村先輩に攻撃できず躱されて寝かされた。


「も、もう一本…!」

「もう良いだろ、疲れたよ」


はぁ〜とため息をつきながら、うつ伏せで倒れている私の横に座り込んだ先輩


「お前さ、なんでそんなに必死なわけ」

「だって、だって強くなきゃ市民を守れないじゃないですか!」

「そういうのは他の奴らに任せりゃ良いじゃん。お前は他に出来ることがあるだろ」

「でも強くなりたいっす」

「えー…」


マジかよとでも言いたそうな呆れ顔で見られた…
ショック…

先輩は私の頭を一度叩くと、グシャグシャと乱暴に撫でた


「な、なんですか!」

「飴と鞭」

「えっえっ!?」

「無茶しようとすんなよ、馬鹿」


少し拗ねたように口を尖らせる先輩
かわいい
心配してくれてるんだろうか、不器用な優しさはとてもくすぐったい


「ご心配ありがとうございます!谷村先輩!自分、大丈夫ですよ!!」

「心配なんかしてねーよ!馬鹿!」


さっきよりも強く頭を叩かれた
もー分かり易い先輩!照れ隠し!


「ななし、警らの時は俺に声かけろよ」

「なんでですか!」

「お前一人だと危なっかしいから」

「それはつまり、先輩と警らが出来るとということですね!!」


真っ赤な谷村先輩が小さく頷いたのを私は見逃さなかった!
谷村先輩!一生ついて行きます!!

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