□休日
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「…ってことがあったんだけど、あー、俺ってほんと良い人だよねー」

「そーですね、はいどいて」

「なんか冷たくない?俺なんかした?」


さいきん、品田さんが家に来る頻度が増えた。

最初の頃は借金取りの来る時だけ逃げてきてたのに
ここのところ毎日居て、このまま住み着くんじゃないかとすら思う。

品田さんと話す時間も次第に増えて、好意を持っちゃったりして。嬉しい気持ちと比例して、悔しい気持ちも増えた。
それは、品田さんがいつも纏っている匂い、風俗店の、風俗嬢の独特の匂い。
品田さんの仕事はもちろん知ってるし、仕方ないって頭では分かっていても心が許さない。

だからこうやっていつもいつも下らない意地を張って、反抗的に冷たく当たってしまう。

それを本人は分かってくれないんだからたちが悪い。


「べつに、何もしてないんじゃない?」

「いーや!絶対怒ってる!言ってくんなきゃ分かんないよ?」

「もーしつこいよ!今日もお仕事あるんでしょ、早く行ってよ」


ふふんと何かいたずらを企む子供みたいに笑った品田さんは、私をぎゅっと抱き締めた。


「な、な、ななな!」

「今日は仕事ないんだ〜、だから今日はななちゃんとずっと一緒に居るって決めたんだ」


スリスリ、と頭を擦り付ける品田さん。
なんだか可愛くて、無意識に頭を撫でていた。


「ななちゃん、ドキドキしてる」

「してないもん」

「してるよぉ!てか、嬉しそう?」

「だ、誰が!!」

「またまたぁ〜、いい加減認めちゃいなよ」


耳元で吐息たっぷりに囁かれたのは


「俺のこと大好きって」


というなんとも挑発的な言葉。


「えっ、やっ…その…」

「あれ?違った?じゃあもうぎゅってするのやめよっか」

「え、えぇっ!?」


力を緩めて離れていく品田さんに、今度は私から抱きついた。


「す、好き!好きです!冷たくしてたのは…その…」

「ん?なぁに?」


嫉妬してた。なんて恥ずかしくて言えない!
品田さんの逞しい胸に顔を隠す。品田さんは私の頭をあやすように優しく撫でてくれた。


「なんで冷たくしてたの?知りたいなぁ」

「え、と…その…他の、女の人の…匂いがして…嫌でした…」

「それ嫉妬?可愛いなぁ!もう!」


またぎゅっと、抱き締められた。



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オチが見えなかったから終わりたまえ


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